1990 年度実績報告書

昆虫の季節適応の機構とその進化

研究課題

研究課題/領域番号	63480038
研究機関	弘前大学
研究代表者	正木進三弘前大学, 農学部, 教授 (00003418)
研究分担者	安藤喜一弘前大学, 農学部, 助教授 (20003775)
キーワード	季節適応 / 光周反応 / 休眠 / 翅型 / コオロギ科 / イナゴ属 / キリギリス科 / ヨトウガ
研究概要	1.休眠の進化過程を推定する資料を得るために、短日(LD12:12)高温(25℃)において、卵休眠の深度が異なるマダラスズの4系統を選抜した。これらの系統の平均卵期間には明瞭な差があり、選択に対する反応過程は、休眠深度がボリジン系によって調節されていることを示している。 2.この種においては約30世代にわたって翅型選択も行ってきた。長翅型系統、短翅型系統、標準系統の光周反応を調べた結果、翅型選択によって光周反応の臨界日長は変化を受けていないことが分かった。翅型決定の限界値上昇・下降によって、系管間に長翅率の差が生じたのであろう。系統間の交雑実験では、長翅率にかかわる遺伝子の1部はX染色体上にあると推定された。傷害や温度ストレスを與えると、短翅化の傾向が強く現れた。この発見は翅型決定機構を解明する有力な糸口となるであろう。 3.光周性の究極の起源が、体内時計にあるのは否かは、季節適応の進化を解く上に重要な課題であるが、これに関連した実験にはヨトウガを用いた。以前の研究では、この種の光周反応は砂時計型の測時機構によっていると見られていたのだが、予め位相設定をしたスケルトン光周期に対する反応を調べる、なじの方法によってサ-カデアン機構が関与していることを検出出来た。 4.幼虫の脱皮回数と翅型が光周期によって調節されていることが、コバネイナゴで発見された。1化性のこの種では成虫サイズに緯度勾配があり、北の集団は南の集団よりも脱皮回数が少なく、成虫は小さい。したがって、幼虫期の齢数は、遺伝的要因と光周期との交互作用によって決められる。この発見は、季節適応の地理的変異の研究に好個の材料を提供することとなった。

研究成果

(5件)

すべてその他

すべて文献書誌 (5件)

[文献書誌] Ando,Y.: "Photoperiodic response of adult diapause in the subtrepical katydid <Euconocephalus>___ー <pallidus>___ー Redtenbacher" Applied Entomology and Zoology.
[文献書誌] Masaki,S.& Y,Seno: "Effect of selection on wing dimorphism in the ground cricket Dianemobius fascipes (Walker)." Proceedings of the International Orthopterists^<^> Society. 5.
[文献書誌] Masaki,S.& A.Nagase: "Genetics,variability,and origin of tropical,subtropical and temperate life cycles in <Dianemobius>___ー fascipes species complex." Stucies on Neotropical Fauna and Environment. 25.
[文献書誌] Walker,M.J.& S.Masaki (ed.F.Huber et al.): "Natural history.In Cricket behavior and Neurobiology,pp.1ー42." Cornell Uniヒersity Press), 565 (1989)
[文献書誌] S,Masaki(ed.F.Gilbert): "In:Insect Life Cycle,pp.125ー141." SpringerーVerlag,London, 258 (1990)

1990 年度 実績報告書

昆虫の季節適応の機構とその進化

研究代表者

正木 進三 弘前大学, 農学部, 教授 (00003418)

研究成果

[文献書誌] Ando,Y.: "Photoperiodic response of adult diapause in the subtrepical katydid <Euconocephalus>___ー <pallidus>___ー Redtenbacher" Applied Entomology and Zoology.

[文献書誌] Masaki,S.& Y,Seno: "Effect of selection on wing dimorphism in the ground cricket Dianemobius fascipes (Walker)." Proceedings of the International Orthopterists^<^> Society. 5.

[文献書誌] Masaki,S.& A.Nagase: "Genetics,variability,and origin of tropical,subtropical and temperate life cycles in <Dianemobius>___ー fascipes species complex." Stucies on Neotropical Fauna and Environment. 25.

[文献書誌] Walker,M.J.& S.Masaki (ed.F.Huber et al.): "Natural history.In Cricket behavior and Neurobiology,pp.1ー42." Cornell Uniヒersity Press), 565 (1989)

[文献書誌] S,Masaki(ed.F.Gilbert): "In:Insect Life Cycle,pp.125ー141." SpringerーVerlag,London, 258 (1990)

1990 年度実績報告書

正木進三弘前大学, 農学部, 教授 (00003418)

[文献書誌] Ando,Y.: "Photoperiodic response of adult diapause in the subtrepical katydid <Euconocephalus>_ー <pallidus>_ー Redtenbacher" Applied Entomology and Zoology.