植物病原糸状菌、主にRhizoctonia solani菌を供試して多種のプラスミドDNAを探索し、相互関係を相補性の面から検討した。更に、すでに見いだされたプラスミド(pRS64)の構造と機能の解析を行った。 (1)本菌の6つの菌糸融合群、1〜6群(菌糸融合群は宿主範囲ともほぼ一致する)の123菌株を供試して51菌株からプラスミドDNAを見いだした。見いだされたすべてのプラスミドは線状であり、各プラスミドDNAは同じ菌糸融合群内のプラスミドDNAと相同性を示した。又、第2群に属する菌株はプラスミドDNAの相同性から2つに分けられ、この群内の宿主範囲とも一致した。 (2)従来報告されている線状プラスミドDNAのほとんどは5'末端にタンパク質を持ったものであるが、4群の病原性の弱い菌株から見いだした、長さ2.7Kbの3種類のプラスミドDNApRS64-1.2.3の構造を解析した結果、本プラスミドDNAは両末端がヘアピン・ループ構造を取り、両末端部は3種類とも同一の塩基配列を持っていることがわかり、全く新しい形の線状のプラスミドであることが判明した。しかも、R.solani菌から見いだされた他のプラスミドDNAも同様の形態を取っていると推定された。なお二量体の形成機構なども判明し、このプラスミドDNAの複製機構もわかりつつある。 次年度はプラスミドDNAの構造解析の不備な点、特に両末端の塩基配列を決定するとともに、細胞内での複製機構の解明を行う。
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