1. R.solaniのプラスミドは分子量の等しい3種類のプラスミドから成ることがわかり、 これらをpRS64ー1、 pRS64ー2、 pRS64ー3と命名した。 さらにDNAの2本鎖の末端が連結したヘアピン・ル-プ構造を両末端に持つことが判明した。 また、 これらのプラスミドは末端部近傍にほぼ等しい配列を共有していた。 2. pRS64を有する菌株の全DNA中には本プラスミドの2量体と考えられるバンドがサザンハイブリダイゼ-ションにより検出されている。 この2量体の構造と、 pRS64のヘアピン・ル-プ構造及び末端部近傍の共通配列の存在から、 本プラスミドの複製構造はセルフ・プライミングのモデルに従って行われる。 3. R.solaniの多数の菌株からプラスミドを検出しサザンハイブリダイゼ-ション法を用いて各プラスミド間の相同性を調べた結果、 本菌のプラスミドDNAは分類に用いられている菌糸融合群とほぼ完全に一致したことから、 プラスミドと宿主特異性の間には何らかの関係があると推察した。 4. 本菌は約1.1〜3.5Mbの大きさの5本の染色体を持っており、 バンドのサイズより推定されるゲノムサイズは約10Mbである。 染色体DNAとプラスミドとの相同性の解析から、 プラスミドDNAは染色体のもっとも小さいサイズ、 1.1Mbとハイブリダイズした。 このことは、 菌糸融合の現象あるいは植物病理学的な性質に基づく類別群とよく一致することに大きな意味を持っているものと考えられる。
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