研究概要 |
メロンのプロトプラスト培養系とその再生体の誘導法を確立した,次に同プロトプラストに対してエレクトロポ-レ-ションを用いて外来遺伝子(βーgluwronidase遺伝子)の導入を行い,同法による遺伝子導入法に成功した。さらに,形質転換プロトプラストからカルス培養を経て,植物体再生法を確立し,同植物体が遺伝子転換体であることを確認した。次に,Agrobacterium rhizogenes によりメロンより毛状根を誘導し,さらに,毛状根を培養して,カルス〓由,元の植物体に再生させることに成功した。Agrobacterium rhizogenesの感染により外来遺伝子(GUSgene)を誘導される毛状根に形質転換させることが判明し,サザ-ンブロットハイブリダイゼ-ションによりベクタ-DNA組込みを確認するとともに,毛状根にNPT11及びGUS遺伝子が形質転換していることを確認した。同遺伝子発現がメロンの再分化過程のいずれの段階でも確認された。以上からメロンの毛状根誘導系から得られる遺伝子組換え体がメロンうどん粉病菌等に対する病害抵抗性組換え体の作出に将来非常に有効であるシステムが確立された。 一方,トマトよりAgrobacteriun rhizoenesの感染により毛状根誘導を行い80%以上の確率でTーDNA組換え体毛状根を得ることが判明した。多数の毛状根のトマト莓凋病菌に対する病徴変換体を選抜したが,感染に対する変換体は得られなかった。確率の問題とはいえ,相当数の毛状根を調査することが必要と思われた。 さらに,タバコ赤星病に対する変異体を選抜するため,毛状根誘導の他に,タバコの半数体花粉細胞集団より直接,毒素を用いて変異体を選抜することが可能である結果を得た。今後,選抜花粉を受粉に利用するか,半数体細胞の細胞融合による抵抗性2倍体の作出の可能性が示唆された。
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