研究課題/領域番号 |
63480052
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
土壤・肥料
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
河崎 利夫 岡山大学, 資源生物科学研究所 (90033109)
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研究分担者 |
柴坂 三根夫 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (60226165)
森次 益三 香川大学, 農学部, 教授 (80033116)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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キーワード | アツケシソウ / 塩生植物 / カリウム / カルシウム / 呼吸 / 耐塩性 / ナトリウム |
研究概要 |
昭和63年度から平成2年度までの3年間にわたり、塩類ストレスに対する植物の反応と適応機構に関し、いくつかの側面から研究を進めてきた。特に、塩生植物アツケシソウ(Salicornia virginica L.)の切断根において、カルシウム共存下で、高濃度ナトリウムがカリウム吸収を促進するという特異な現象を見出した。これは塩生植物が高濃度条件下でカリウム栄養を維持する仕組みに新しい視点を与えるものであり、植物の耐塩機構解明の有力な基礎的知見と考えられる。 カルシウム共存下でのカリウム輸送に対する高濃度ナトトウムによる促進効果について、さらに詳しく解明するため、各種代謝阻割剤を用いて検討した。その結果、DNPあるいはCCCPによってカリウム吸収促進効果は抑制されたが、バナジン酸は影響を与えなかった。このことから、アッケシソウ根における高濃度ナトリウムによるカリウム吸収促進効果はエネルギ-代謝に関係するが、ATP分解酵素活性とは関係しないのではないかと推測された。また、アツケシソウ根において、3μMのDNP添加は最大の呼吸促進を示し、充分に脱共役が行なわれたと考えられた。この濃度のDNPは高濃度ナトリウムによるカリウム吸収の促進効果を完全に抑制した。これは、このカリウム吸収促進現象がエネルギ-依存的であることを示している。さらに、ナトリウム濃度を変えて、アツケシソウ根におけるカリウム輸送と呼吸活性を調べた結果、両者の間に正の根関が認められ、ナトリウム200mMで最大の吸収と活性が認められた。一方、中性植物でふるオオムギ根では、ナトリウム濃度の上昇とともに、カリウム吸収と呼吸活性の両者とも著しく阻害された。 以上の結果は、塩生植物アツケシソウにおけるカリウム栄養の解明に新しい知見を与えるだけでなく、高濃度塩類に対する植物の耐性機構の解明に大きく寄与するものと考えられる。
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