研究課題/領域番号 |
63480054
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
太田 明徳 埼玉大学, 理学部, 助教授 (30125885)
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研究分担者 |
松崎 博 埼玉大学, 理学部, 助手 (80008870)
渋谷 勲 埼玉大学, 理学部, 教授 (60013306)
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キーワード | リン脂質 / ホスファチジルセリンシンタ-ゼ / ホスファチジルセリンデカルボキシラ-ゼ / CHO1 / Saccharomyces cerevisiae / Schizosaccharomyces pombe / オルガネラ / 酵素局在性 |
研究概要 |
1.ミトコンドリア外膜にたいする結合シグナルをβ-ガラクトシダ-ゼのアミノ末端に有する融合蛋白、また液胞膜のα-マンノシダ-ゼを各々の膜の標識として、Saccharomyces cerevisiaeのホスファチジルセリンシンタ-ゼ(PSS)の細胞内分布を検討した。その結果、この酵素はやはりミクロソ-ム(それも粗面小胞体)に局在すると結論した。PSSと同様な分布はホスファチジルイノシト-ルシンタ-ゼについても示された。それゆえこの酵母ではホスファチジルセリン(PS)と、ホスファチジルイノシト-ルは小胞体で合成後、他の部位に輸送されると考えられる。 2.本来の分泌シグナルの代わりにPSSのアミノ末端領域を結合させたインベルタ-ゼは分泌されなかった。したがって、PSSの小胞体結合シグナルがあると考えられるアミノ末端領域は分泌シグナルとして機能しないと推定された。ミトコンドリアへのタ-ゲッティングシグナルを付加したPSSの発現系も作製した。現在それらの細胞内局在性とアミノリン脂質合成に対する影響を検討中である。 3.PSSの生産をGAL7プロモ-タ-支配下においた解析系によって、含窒素リン脂質の生合成の停止が細胞分裂の停止と細胞死およびリン脂質の分解を引き起こすことを見いだした。 4.ホスファチジルセリンデカルボキシラ-ゼ(PSD)の活性をmyo-イノシト-ル存在下で強く抑制する新たな変異はpet変異であった。この結果はミトコンドリア機能とPSDとの強い関連を示している。 5.分裂酵母Schizosaccharomyces pombeではPSD活性がきわめて低かった。高濃度セリン要求性変異株のうち、コリンあるいはエタノ-ルアミンでも生育する2つの相補グル-プはいずれも正常なPSS活性を示した。これらは、分裂酵母のPS合成と脱炭酸の、ホスファチジルエタノ-ルアミン供給における意義を疑わせしめるものである。
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