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1989 年度 実績報告書

大豆タンパク質由来のインスリン作用増強ペプチドの構造決定とその作用機構

研究課題

研究課題/領域番号 63480055
研究機関名古屋大学

研究代表者

牧野 志雄  名古屋大学, 農学部, 教授 (80000842)

研究分担者 森山 龍一  名古屋大学, 農学部, 助手 (60191061)
キーワードグリシニン酸性サブユニット / 胆汁酸結合性タンパク質 / インスリン作用増強ペプチド / 脂肪分解促進作用 / インスリン分解抑制作用
研究概要

大豆蛋白質の持つ脂質代謝改善作用に関与すると考えられる潜在的生理機能であるインスリン作用促進効果の分子機序を明らかにすることを本年度の主眼とした。前年度にインスリン作用促進効果の存在が明らかにされた大豆蛋白質グリシニン酸性サブユニットA_<la>/TR のトリプシン分解物(A_<la>/TR)を用いラット脂肪細胞に対するインスリン作用に及ぼす蛋白質効果を検討した。インスリンに対する脂肪細胞の初期応答反応である糖輸送にA_<la>/TRは何等の効果も持たなかったが、インスリンに依存する脂肪合成・脂肪酸生成の感受性・応答性を共に増強した。また、A_<la>/TRはインスリンのインスリン受容体への結合(結合数並びに親和性)には影響しなかった。しかし、インスリンの細胞内への取り込みを促進した。これはA_<la>/TRがホルモンのエンドサイト-シスを増強するためでなく、細胞内へ取り込まれたインスリンの分解を抑制したためであった。これらの効果は生理的温度下でのみ観察され、ホルモンの内存下が生じない低温下では認められなかった。また、A_<la>/TRは内存下したインスリン受容体の細胞膜上へのリサイクリングにも影響しないことが示唆された。この蛋白質のインスリン作用修飾効果はアデニル酸シクラ-ゼの関与する代謝経路には無関係であった。以上の結果より、細胞内インスリン濃度の増加が何等かの代謝過程、おそらくホルモン感受性リパ-ゼ活性の修飾等、に変動を与えているものと推定される。インスリン作用促進効果はエンドウ種子蛋白質にも認められ、レグミン酸性サブユニットがその主成分であることを同定した。また、A_<la>/TRは脂質代謝においてインスリン作用と拮抗するグルカゴン作用も修飾することを認めている。現在、本実験の培養細胞系への展開を進めている。これらの研究を発展させることにより、食品蛋白質の持つ生理的機能に新たな展望が開けるものと考えられる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Makino,Shio: "Acidic polypeptides of glycinin:Bile acid-binding proprties and insulin-stimulating activity" Proceedings of ISF-JOCS world Congress 1988. 2. 1158-1163 (1989)

  • [文献書誌] Minami,Kohtaro: "Identification of soybean protein components that modulate the action of insulin in vitro" Agric.Biol.Chem. 54. 511-517 (1990)

  • [文献書誌] Minami,Kohtaro: "Mechanism on the insulin stimulating action of soybean glycinin subunit in adipose cells" Biochim.Biophys.Res.Commun.(1990)

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公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

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