研究課題/領域番号 |
63480059
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
林学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
勝屋 敬三 筑波大学, 農林学系, 教授 (40015863)
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研究分担者 |
黒田 吉雄 筑波大学, 農林学系, 助手 (30015672)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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キーワード | カラマツ / 根株心腐病 / 土壌環境 / 菌類の樹幹内分布 / 腐朽菌の林床内分布 / soil water content / fungal ecology |
研究概要 |
1.筑波大学川上演習林内27年生カラマツ造林地0.9haの試験地において林床内のカラマツ根株心腐病菌の1種(末同定菌)の捕捉試験によりその分布が判明した。本菌の分布は集団状であったが、一部は散発的であった。また、本菌は土壌深度約20cmまでに大部分が棲息することが確認された。これと平行して同試験地内の全カラマツ生立木901本についてShigometerを用いて腐朽の有無を調査した結果、心材腐朽木は10.8%に達し、腐朽木は主に集団状に分布していることが明らかになり、興味ある点は、腐朽木の試験地内での分布と同林床内の根株心腐病菌の分布と比較的良く一致する場所が多いことである。本試験地には少なくても3種の異なる根株心腐病菌の存在が明らかになっているが、その内1種の林床内分布と腐朽木と関連があることを示したことは、他の腐朽菌の林床内分布状況および腐朽木がどの病原菌に侵されているか調査する必要がある。 2.土壊水分およびPHと腐朽木・腐朽菌の関連についても興味ある結果が得られた。平均土壌含水率80%以上、PH4.6〜4.8の土壌に腐朽菌および腐朽木が多い傾向が示された。従来土壌水分と本病発生に関連があると云われて来たが、それを暗示するデ-タが得られた。なお、地形との関係は現在解析中であるが、本研究では排水が良いと考へられる尾根において根株心腐病の発生が多くみられ、単なる地形からの本病発生の推測は困難と云えよう。 3.根株心腐病菌の1種カイメンタケを人工的に接種したカラマツ生立木樹幹内の菌類相と自然感染木樹幹内の菌類相を調査したところ、カイメンタケの存在する部位の周辺に常に他の菌類および細菌が存在し、この種類も類似していた。しかし生立木へ接種したカイメンタケの生育は極めて遅く、接種法を改善する必要があろう。本実験により腐朽の樹幹内の進行状態を知る可能性があることが明らかになった。
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