研究課題/領域番号 |
63480061
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐々木 惠彦 東京大学, 農学部, 教授 (20196158)
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研究分担者 |
松本 陽介 東京大学, 農学部, 助手 (50165916)
山本 直樹 農林水産省, 森林総合研究所, 研究室長
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キーワード | クロマツ種子 / クロマツ種子の胚 / 貯蔵mRNA / cDNA / cDNAライブラリー / ポリA^+RNA / 蛋白生合成 / 休眠種子 |
研究概要 |
休眠状態のクロマツ乾燥種子の胚に含まれるRNAを抽出し、mRNAの鋳型活性があるかどうかを検討した。まず、乾燥種子から胚を摘出し、トリス緩衝液とフェノールでRNAを抽出した。オリゴdTカラムに抽出したRNAを流し、ポリA^+RNAを分離した。mRNAには、ポリARNA部分が存在する。クロマツの休眠種子の胚には、ポリAを含むRNAが存在していることが確かめられた。このポリA^+RNAに、mRNAとしての鋳型活性が存在するかどうか、in vitroの蛋白生合成実験を行なった。実験系として、ウサギ網状赤血球ライセートとコムギ胚抽出液の二つの系を用い、mRNAとして、上記のポリA^+RNAを使った。二つの実験系いずれも、マツのポリA^+RNAを鋳型として、蛋白を形成した。しかし、休眠状態のマツ種子には、鋳型活性がなく、フェノール抽出によって、はじめてmRNAの鋳型活性が発現する。したがって、休眠中のクロマツ種子に含まれるmRNAは、何らかの形で不活性化した状態にある。 休眠種子に含まれるmRNAの翻訳産物をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離すると、ウサギおよびコムギのいずれの系においても多数の蛋白のバンドが検出される。したがって、抽出したmRNAは多数の混成種から成ることがわかる。また、蛋白の種類が多いため、蛋白から解析を進めることは難しい。これらの結果より、mRNAおよび対応するcDNAによって、解析を進めることにした。ポリA^+RNAを鋳型として、dATP、dGTP、dTTP、dCTPおよび^<32>P-dCTP、オリゴdTTプライマーに、逆転写酵素を加え、一本〓のcDNAを作り、プローブとした。さらに、二本〓のcDNAを作り、大腸菌のpUC8プラスミドに組込み、cDNAライブラリーを作った。今後、ライブラリーとプローブを用いて、貯蔵mRNAの動態、解析、同定を行なっていく。
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