昨年度(1988年)に開発したソフトウェアGIS Kitの操作性とその解析能力のテストを行った。対照森林は信州大学農学部の構内演習林40haであり、その地図上に描かれた地理情報を点、線、画および記述デ-タとしてGIS Kitによりコンピュ-タファイルに入力テストを行った。次にファイルの中からの検索と分類のテストを行い地図上の所在地と記述デ-タとの照合により土地利用区分地図を作成した。地図作成の精度と速度について調べた結果、森林管理上の観点から十分な能力があることが判明した。以上の操作性と解析能力のテストから、このGIS Kitは森林管理のためのコンピュ-タマッピングおよび地理情報システムとして応用できることが判明した。 次にこのGIS Kitの応用能力のテストとして信州大学農学部手良沢山演習林の施業計画の作成に応用した。演習林教官から提供された森林地図、地形図および土壌図を原資料として、演習林の林相図、林齢図、間伐対象林図、主伐対象林図を作った。次に樹種、地形、土壌型の3種類の地図の数理的な重ね合わせを行い、適地適木の立地分析を行った。以上の結果からGIS Kitは森林施業計画の立案上の用具として有効に応用できることが判明した。 この地理情報システムの手引書とパッケ-ジ化されたプログラムとを全国の大学と研究機関へ配布して、その応用拡張性についてのテストを実施している。現在までの問題点は森林デ-タ量の大きさに対応したファイル構造である。次年度の課題として、操作性の明確化とデ-タ量の処理があげられる。以上が解決した所で、応用性の高い地理情報システムとして森林研究および林業経営、森林資源管理に役立つことが判明するので、開発研究として成果をまとめることが出来る見通しを得た。1990年には研究成果を広く公開したい。
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