研究課題/領域番号 |
63480064
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
伏谷 賢美 東京農工大学, 農学部, 教授 (80014950)
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研究分担者 |
佐藤 敬一 東京農工大学, 農学部, 助手 (90178723)
杉山 民二 東京農工大学, 農学部, 講師 (80015099)
久保 隆文 東京農工大学, 農学部, 助教授 (00015091)
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キーワード | 常緑性針葉樹 / 細胞分裂 / 細胞分化 / インド-ル酢酸 / アブシジン酸 / サイトカイニン / 晩材への移行時期 / 晩材細胞の生産速度 |
研究概要 |
細胞分裂や木部細胞への分化には、オ-キシンのひとつで活性の強いインド-ル酢酸(IAA)が主体的に作用し、個体間あるいは個体内での早材、晩材細胞の量的変動に密接にかかわっている。しかしながら、オ-キシン以外の植物ホルモンとして知られているサイトカイニン(CKs)、ジベレリン(GA)、アブシジン酸(ABA)についても、それらの木部形成への影響は十分考えられることである。 本年は、“アカマツの木部形成活動の季節変化、及びIAA、ABA濃度の季節変化"、さらに“常緑・落葉針葉樹の木部再活動とIAA、CKsとの関係"について、昨年に引き続き実験を行い、デ-タの整理及びとりまとめを行った。なお、当初の計画ではIAA、ABA以外の植物ホルモンの中で木部形成との関係が比較的よく報告されているGA、CKsについても同定、定量法を確立し、樹木中での存在及び早材、晩材形成活動との関連性を明らかにする予定であったが、今回実際に検討を行ったのはCKsのみであった。 比重の重要な変動因子である晩材細胞の生産量はその生産速度に強く依存するか、また晩材細胞の生産速度は初期の早材細胞の生産活動、すなわちその生産速度や晩材への移行時期と関係している。そして、早材細胞の生産活動はIAAの最大濃度に支配される。著しく低い樹冠率木の樹冠基部近くで、早材細胞の生産活動と無関係に晩材細胞の増加が観察されるが、これは比較的高いIAA濃度の持続性と関係していると考える。生長抑制効果の強いABA濃度の季節変化はみられず、晩材への移行、細胞生産の停止などとの関係ははっきりしなかった。IAA同よう生長促進効果のあるCKsについては、同定、定量法を確立することができ、樹木中にリボシルゼアチンの存在を確認することができたが、木部形成再活動との関係についての明確な結論は得られなかった。
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