研究課題/領域番号 |
63480066
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
野村 正 東北大学, 農学部, 教授 (70005594)
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研究分担者 |
今島 実 国立科学博物館, 動物研究部, 部長 (30000110)
尾定 誠 東北大学, 農学部, 助手 (30177208)
松谷 武成 東北大学, 農学部, 助教授 (90134030)
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キーワード | ポリドラ / 着底 / 穿孔 / ホタテガイ |
研究概要 |
1.網走海域に生息する3種のポリドラのうち、本年度は残るPolydora websteriとP.concharum subsp.の2種の生活史を明らかにした。 2.上記2種と新種マダラスピオPolydora variegataのホタテガイ貝殻への穿孔状況の特長を明らかにした。 1)P.variegata:主として成長障害輪に沿って同心円上に孔道が分布。耳の基部にも一部孔道が分布。最も多い。 2)P.websteri:一部の貝殻に多数穿孔していた。主として、成長障害輪と成長障害輪の間に分布する傾向あり。 3)P.concharum subsp.:耳の基部周辺を中心に、より殻頂に近い部位に蝟集して穿孔する傾向があった。 3.上記3種のポリドラのなかで、網走海域のホタテガイの貝殻に穿孔がとくに著しいマダラスピオに注目し、その幼生を飼育し、着生・変態機構を検討した。その結果、 1)新種マダラスピオ幼生の好適飼育条件を明らかにした。 2)ほとんどの幼生は17〜20剛毛節で着底した。 3)着底期における幼生の形態変化として、着底直前に第5剛毛節に球状器官の形成、体の縦偏等がおこり、着底時に全剛毛節の長剛毛の脱落、第7剛毛節以降の剛毛節における鰓の形成、第5剛毛節球状器官の消失など観察された。 4)着底実験では、実験に使用した基質のうち、生きたホタテガイの貝殻に対する着底率が最も高かった。 以上のように、今期、マダラスピオの幼生飼育に成功し、その着底・穿孔機構を解明するうえで、貴重な基礎デ-タを得ることができた。とくに、着底時の形態変化のうち、第5剛毛節球状器官の消長という発見はマダラスピオ幼生の着底機構を解明するうえで重要な手掛かりになるものと考えられる。
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