研究課題/領域番号 |
63480067
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
沖山 宗雄 東京大学, 海洋研究所, 教授 (00111584)
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研究分担者 |
宗宮 弘明 麻布大学, 獣医学部, 講師 (50147972)
大竹 二雄 東京大学, 海洋研究所, 助手 (20160525)
塚本 勝已 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (10090474)
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キーワード | 変態 / 初期生活史 / ウナギ目 / サケ目 / カレイ目 / ハタハタ科 / レプトセファルス / 日令 |
研究概要 |
魚類の変態に関しては、その多様性を反映して明確な定義がおこなわれていない。本研究では変態の概念に関する歴史的変遷をわが国における稚魚研究史の中で評価し、初期生活史研究の体系化にあたって、変態の位置づけが極めて重要であることを明らかにした。変態現象の解明においては顕著な形態変化を示す分類群として、ウナギ目、サケ目、カレイ目魚類を取上げる一方、比較対象群としてハタハタ科について研究をおこなった。ニホンウナギに関しては耳石による日令の査定を基礎に海洋生活のレプトセファルス期について成長、回遊および接岸の実態を解明した。しかし、ソトイワシ科のレプトセファルスに関しては標本が採集できなかった。ニギス亜目魚類のうち、ソトイワシについては初期発育期の標本が十分に収集され、形態発育および分布生態の大容を明らかにすることができた。その他の近縁種についても幼期の標本が採集され比較発育史の研究が進行中である。カレイ目のババガレイについて変態過程を人工飼育標本を用いて詳細に解析した。変態に伴なう骨格系(軟骨を含む)および皮膚組織等の発達が非常に適応的な変化を示すことが解明され、生息環境に従属した変態現象の特性が示唆された。ハタハタ科魚類については、顕著な形態変化を伴なわないにも拘らず、変態型と直達型の2型の初期発育パターンが存在することが判明した。このように生息域の特性と系統的属性に支配された多様な発育パターンの分化によって、魚類における変態現象は一層複雑化していることが示唆された。つまり、体系化の前に具体例の正確な解析と蓄積が当面は平行してすすめられる必要のあることが痛感された。一方、変態機構の組織学的解析を深めるために主に視覚系を中心として手法の検討がすすめられた。今後は代表種について総合的解析を試みながら、対象種を拡大する方向で研究を推進することを考えている。
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