研究課題/領域番号 |
63480074
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
日下 達朗 山口大学, 農学部, 教授 (50038238)
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研究分担者 |
早川 誠而 山口大学, 農学部, 助教授 (80038299)
丸本 卓哉 山口大学, 農学部, 助教授 (00035122)
鈴木 義則 山口大学, 農学部, 教授 (70081495)
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キーワード | 根圏 / 微生物バイオマス / イチゴ / 土壌水分 / 地中温度 / 糖度 / 純放射量 |
研究概要 |
土壌の微生物バイオマス測定法について、近年生化学的な手法を用いた方法が開発されて応用されるようになり、バイオマス養分の定量が可能となってきた。しかしながら、作物根圏の土壌はその採取が極めて困難なために、根圏バイオマスをめぐる養分動態の測定は不可能であった。初年度より、指による根圏土壌の採取を行い、その分析を試みてきたが、デ-タの振れが大きいことや、採取時間が長いことなどの理由で、尚更かつ再現性の高い方法を検討した。その結果、ステンレスメッシュの網を用いて、根表面より5mmの土壌を採取できるRhi20boxを考案した。本年度は、指採取法とRhi20boxによる採取法を比較しながら、バイオマス養分の定量を行った結果、極めて良好な結果が得られた。 イチゴ果実の品質に及ぼす地温の影響:生殖生長期に対し地温の制御を行い、生長と品質に及ぼす影響を土壌水分最適条件下で検討した。植物体の全乾物量は地温が18℃から27℃の範囲内では最適値を24℃とし、これを中心に前後の温度範囲では約5%/℃で減少した。これは生植生長期の初期に温度をあげすぎることは生長促進のあとに急激な抑制がかかることを意味する。イチゴ果実の品質はごく初期に成熟したものを除き、地温が上述の範囲にあるときは地温に比例して糖度(ブリックス値)が上昇し、宝交早生だと0.43度/℃であることが明らかになった。これらは根圏環境の熱的改善技術になりうると結論づけられた。 ベタがけの根圏環境に及ぼす影響:ベタがけ資材の種類による地温に対する影響を実験で解析し、その差が大きいことを明確にした。次に理論的かつ定量的に根圏環境への影響を明らかにするために地表面での熱収支を考えた非常常場の熱伝導方程式を用いてシミュレ-ションを行った。また、顕熱伝達量はほぼ零に近く、純放射量の大半が潜熱と地中熱伝達量に分配されて根圏温度環境を支配していることがわかった。
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