研究概要 |
ピ-マン(カナダBC州産)を供試作物とし,全期マルチ,前期マルチ,後期マルチ,全期マルチ+トンネル処理実験の結果,後期マルチを標準区とした収穫促進度合は前期マルチで2〜3倍,全期マルチで3〜7倍に上がるものとなった。さらにビニルトンネル+全期マルチ栽培とした場合には実に10〜13倍に達した。晩春の気候条件下では露地栽培が不可能であるのに,マルチによって栽培が可能になること,地中環境改善には移植直後からのマルチが効果的で,しかも栽培全期間を通す方がよいこと,マルチにおける水・肥料管理システムとしてはファ-ティゲイション(肥料混入灌水)が成長にプラスであることがわかった。 地温の制御を行い,生長と品質に及ぼす影響を土壌水分最適条件下で検討した。植物体の全乾物量は地温が18℃から27℃の範囲内では最適値を24℃とした。また地温が上述の範囲にあるときは地温に比例して糖度(ブリックス値)が上昇し,宝交早生だと0.43度1℃であることが明らかになった。 イチゴ果実収穫前2週間の土壌水分条件を変化させたときのイチゴの収量への影響について調査した。収穫前2週間の水分設定は,湿潤(40〜43%),標準(37〜38%),乾燥(30〜35%),の範囲に維持され,地温はマルチ区が対照区(無マルチ)より1〜2℃,電熱加温区は5〜8℃高く設定されていた。その結果,イチゴ収穫直前2週間の土壌水分をPF1.2〜1.4(40〜43%)に調節したあと,水分を圃場容水量に,地温を20℃前後に維持すれば,大粒で,糖度は比較的一定,週間の収量もほぼ一定した作業効率の良いイチゴの栽培が可能となった。 根圏域環境改善のためのべたかけの実験とシミュレ-ションから,晴天日,べたかけ内の気温は日中は4〜8℃高く,夜間も3〜4℃高くなった。観測とシュミュレ-ションの結果は比較的良く一致した。
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