研究概要 |
飼料の物理的形態の違いが、唾液経由のリン(P)の動きに及ぼす影響を、めん羊で検討した。粗切飼料では粉砕飼料に較べて唾液分泌量、第一胃内容量、第一胃流出速度ともに増加する傾向があった。また第一胃内容液中のP濃度は粗切飼料の方が低かった。これは唾液P濃度を反映していると考えられた。飼料の物理的形態による飼料通過時間の変化とCa,P,Mgの吸収率の関係については現在分析中である。 小腸の2ケ所にカニュ-レを装着しためん羊を用い、一時分離小腸による灌流試験で、Pおよび他のミネラルの吸収を検討した。5〜10ml/min(7.2〜14.4l/d)の灌流速度では、流速が遅いほど水分吸収率、P吸収とも高かった。灌流液のP濃度を10〜50mMの範囲で変えると、水分吸収率には違いはなかったが、P吸収率は濃度が高くなるほど減少する傾向にあった。しかしPの総吸収量は濃度が高い程増加し、本実験下では飽和状態はみられなかった。今回の試験では、灌流液中のCa,Mg濃度が低く設定されていたので、Ca,Mgの吸収については明らかな傾向は見られなかった。Ca,Mgの吸収については、カニュ-レの装着部位も含めて今後の検討が必要である。invivo状態での灌流試験は、動物を種々の条件下において(P充分、P欠乏など)行う予定である。 なお、本年度の実験の過程で、P充分飼料からP不足飼料への切り換えや、唾液Pの除去が、唾液を中心とするPおよび水分代謝に影響を及ぼす傾向が見られたので、今後この点についても検討を進めていく予定である。
|