研究概要 |
1.豚胎子下垂体腺細胞の分化と発達。豚胎子下垂体を光学ならびに電子顕微鏡的に研究した。通常の染色組織標本の観察に加えて、ACTH,GH,LH,PRL抗体を用いて酵素抗体法的検索も行った。これにより,下垂体前葉の各種腺細胞の発生時期と分布様式を解明した。ACTH細胞は胎生初期の25ー40日齢の間,GH細胞とLH細胞は中期である40ー60日齢の間,PRL細胞は末期である80ー105日の間に出現した。ACTH細胞は胎生の全期間,前葉の全域に均等に分布した。GH細胞は中期から末期まで,前葉の正中部では尾部に,外側部では全域に分布するという局在性を示した。LH細胞は胎生60日齢の前葉の正中部では吻部に局在し,末期の80ー105日の期間は前葉の全域に分布した。PRL細胞は胎生末期の105日齢で,前葉正中部の背側部と腹側部にのみ局在した。 2.豚副腎皮質の分化と発達。豚胎子副腎について組織計測的ならびにステロイド脱水素酵素(HSD)検出により,永久皮質の層分化と機能活性,ならびに胎生皮質の推移と意義を明らかにした。45日齢までの胎子副腎皮質はほぼ胎生皮質細胞のみで構成される。60日齢までの間に胎生皮質細胞には退縮の微候が現われ,これ以後胎生皮質は進行性に縮小する。永久皮質細胞は胎齢40日,被膜直下の小細胞の小集塊として出発する。45日齢以後細胞集塊は急速に発達し、中期以後は球状帯および束状帯に分化する。この後,束状帯は特に激しく発達し、断面における相対的な割合も増大する。胎生皮質と永久皮質はともにΔ^5ー3βーHSD活性を示すことから,胎子ー胎盤系に有意義なプロジェストロンおよびアンドロステロンの合成能をもつことが示唆された。
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