研究課題/領域番号 |
63480092
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大賀 晧 北海道大学, 獣医学部, 教授 (10001512)
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研究分担者 |
太田 利男 北海道大学, 獣医学部, 助手 (20176895)
伊藤 茂男 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (40109509)
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キーワード | ストレス症候群ブタ / 骨格筋硬縮 / 筋小胞体 / CaによるCa放出 / ハロセン / カフェイン / ダントロレン |
研究概要 |
ストレス症候群ブタにおける骨格筋硬縮はムレ肉発生の最大の原因と考えられている。そこで本研究ではストレス症候群ブタと正常ブタの骨格筋スキンド細胞を用いて、筋収縮蛋白系のCa感受性及び筋小胞体の性質を比較検討し、ストレス症候群ブタの骨格筋硬縮の発生原因について、単一細胞レベルで検討した。更に、ストレス症候群ブタにおいて発症を誘発することが知られているハロセン等の薬物の影響についても調べた。 1.筋収縮蛋白系のCa感受性:ストレス症候群ブタと正常ブタの筋収縮蛋白系は10^<-6>MCa^<2+R>より活性化され、10^<-5>Mで最大活性が得られ両ブタ間で差異は認められなかった。ハロセンはCa濃度-張力関係に全く影響を与えなかった。2.筋小胞体のCa取り込み:(1)3×10^<-7>MCa^<2+>による筋小胞体へのCa取り込みの時間経過は両ブタ間で差異は認められず、またハロセンはCa取り込み速度に影響を与えなかった。(2)筋小胞体へのCa取り込みの初速度は10^<-8>〜3×10^<-7>MCa^<2+>の間で両ブタにおいて、同様の直線関係が得られた。3.筋小胞体からのCa放出機構:(1)筋小胞体からのCaによるCa放出機構はストレス症候群ブタで有意に亢進しており、Ca放出速度は約3倍高かった。(2)CaによるCa放出機構を増強させるハロセンやカフェインの感受性は両ブタ間で差はなかったが、両薬物存在下のCa放出速度はストレス症候群ブタにおいて有意に大きかった。(3)悪性高熱症の治療薬であるダントロレンはストレス症候群ブタのCaによるCa放出機構を濃度依存性に抑制した。以上の成績より、ストレス症候群ブタ骨格筋の筋収縮蛋白系のアクトミオシンや筋小胞体のCaポンプの性質は正常ブタと同じであり、筋症胞体からのCaによるCa放出機構に関与するCaチャンネルの活性化レベルのみが異常に高いことが明らかになり、このことがストレス症候群ブタにおける筋硬縮の主因であると示唆された。
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