研究課題/領域番号 |
63480092
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大賀 晧 北海道大学, 獣医学部, 教授 (10001512)
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研究分担者 |
太田 利男 北海道大学, 獣医学部, 助手 (20176895)
伊藤 茂男 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (40109509)
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キーワード | ストレス症候群 / 骨格筋 / スキンドファイバ- / CaによるCa放出 / ダントロレン / 副腎髄質 / 副腎皮質 / 脳下垂体 |
研究概要 |
本年度は、ストレス症候群の治療薬として有効であることが報告されているダントロレンのモルモット骨格筋スキンドファイバ-に対する作用を調べると共に、動物におけるストレスの程度の定量化を試みるため、ストレスに関連する血中ホルモンの定量法の確立と輸送ストレスの一つである振動ストレスに対する、それらホルモンの血中動態を測定した。 1.ダントロレンの骨格筋に対する作用の検討 (1)ダントロレンは生理的体温(38℃)下で筋小胞体からのCaによるCa放出(CICR)を抑制したが、低温(20℃)では抑制しなかった。 (2)38℃でのダントロレンの抑制作用はCICR機構を亢進させるカフェイン、アデニンヌクレオチドまたはMg除去下で増大した。 (3)ダントロレンはCICRの速度を減少させたが、Ca感受性には影響を与えなかった。 (4)筋小胞体へのCa取り込みや筋収縮系のCa感受性は38℃、20℃共にダントロレンで影響を受けなかった。以上の成績より、ダントロレンはストレス症候群ブタで異常亢進している筋小胞体からのCICR機構を選択的に抑制することにより治療効果を発現すると思われた。 2.振動ストレス負荷による血中ホルモン動態の検討 (1)血中ノルアドナリン(NA)、アドレナリン(Adr)及びコンチゾ-ル(Cor)は高速液体クロマトグラフィ-により、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)はラジオイムノアッセイ法により測定した。 (2)血中ホルモン動態を経時的に調べるため慢性カニュ-レを挿入したモルモットを作成した。 (3)振動ストレス負荷により、負荷時間に依存して血中NA、Cor、ACTHは増加したが、Adrは増加しなかった。 (4)アドレナリン作動性遮断薬は振動ストレスによるNAの増加のみを抑制した。以上の成績により輸送時の振動ストレスにより副腎髄質系よりも、交換神経系及び脳下垂体・副腎皮質系が活性化されることが示され、これら血中ホルモン動態の測定により、動物のストレスの程度の定量化が可能であることが示唆された。
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