研究課題/領域番号 |
63480095
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
星野 洸 名古屋大学, 医学部, 教授 (40000913)
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研究分担者 |
藤田 芳和 名古屋大学, 医学部, 教務員
小林 身哉 名古屋大学, 医学部, 講師 (70002178)
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キーワード | 皮膚関連免疫系 / ランゲルハンス細胞 / Thy-1陽性細胞 / Ia抗原 / 個体発生 / 細胞動態 |
研究概要 |
生体防御の最前線の1つである皮膚からリンパ節を経由して展開される免疫応答のしくみのなかでランゲルハンス細胞(L細胞)は抗原提示機能を発揮するとみられている。本研究はこの細胞の発生と細胞動態を調べることで、皮膚関連免疫系の理解を深めようとするものである。本年度は、1.生後のマウスを用い、舌粘膜および前胃部粘膜について剥離上皮伸展標本をつくり、L細胞の機能的マ-カ-であるIa抗原の発現を抗Iaモノクロ-ナル抗体を用いるPAP法およびABC法で調べた。Ia抗原陽性のL細胞は舌と前胃部粘膜において、生後1週できわめて少数出現し、2週で微増するが、4週になってようやく成体のレベルに達した。この結果から、これら消化管上部粘膜も皮膚と同様の防御システムを持つと考えられるが、マウスでは、生後1週で生体のレベルに発達する皮膚と比べて、消化管上部粘膜での発達は哺乳期間だけ遅れることが明らかになった。L細胞と並んでThy-1陽性細胞も舌・前胃部粘膜に出現した。Thy-1陽性細胞の分布はL細胞のように均等ではないが、L細胞と同じく生後4週で成体レベルの頻度となった。2.前胃部におけるL細胞は皮膚より分布密度は低いが、個々のL細胞は樹枝状突起を長く伸ばし広い細胞領域をもっていた。また、時に1個のL細胞のまわりに数個のThy-1陽性細胞がロゼット様に集まっている場合があり、上皮内において両細胞の密接な関係が示唆された。3.舌と胃におけるL細胞内にそれを特徴づけるバ-ベック顆粒が出現したが、皮膚と比べてその頻度は少なかった。4.リンパ節に流入したL細胞はバ-ベック顆粒を失い、他のいわゆるlD細胞と区別できなくなる。両者はともにIa抗原陽性であり、同種の細胞系に属すると判断される。以上の研究成績は本年4月の日本解剖学会総会および6月の日本リンパ学会において発表することになっている。
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