研究概要 |
1、日周期による毛様体突起の形態変化。家兎を12時間明・12時間暗で2週間飼育後、眼圧最低期(明時)と最高期(暗時)とに眼球を摘出し的様体突起の形態を電顕で検索した。明時の毛様体突起では支質は浮腫状、色素上皮層(PE)細胞の基底外側面の突起間が開大し、上皮内通路を膨大していた。しかし無色素上皮層(NPE)細胞の間隙に変化はみられなかった。ゴルジ装置はPE,NPEともその成熟面を支質側にむける傾向がみられた。一方、暗時の毛様体突起では、全体として収縮した観を呈し、支質は密で、上皮細胞突起間も上皮内通路もつぶれた状態を示していた。ゴルジ装置の成熟面は逆転し、PE,NPEともに眼房側にむかう傾向がみられた。この所見から、明時における眼圧低下は眼房水の再吸収によることが推測された。 2.毛様体上皮をPEとNPEの2層のまま分離する方法を開発した。摘出した家兎眼球の左・右長後毛様体動脈からコラ-ゲナ-ゼ液を潅流し、最終的には実体顕微鏡下で注意深く毛様体突起部を短冊状に切り出し、上皮層のみを機械的に分離する。分離された上皮層を型の如く固定・包埋・切片作製して電顕で観察した結果、細胞の形態は良く保存され、細胞間結合も正常であることが確かめられた。そこで、このようにして分離した新鮮毛様体上皮にヤギ抗兎Na/KーATP aseを作用させ、結合部位をBiotinーstreptoavidin peroxidase法で検出すると、抗原部位がPEとNPEの基底外側面の細胞膜に沿って存在することが証明された。すなわちNPEのみならずPEもまた眼房水の産生に活発に関与することが推測された。
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