研究課題/領域番号 |
63480099
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生理学一般
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
竹中 敏文 横浜市立大学, 医学部, 教授 (00045999)
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研究分担者 |
川上 倫 横浜市立大学, 医学部, 助手 (60177649)
堀 英明 横浜市立大学, 医学部, 助手 (30117759)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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キーワード | 軸索内輸送 / 細胞融合 / 培養神経細胞 / 脊髄後根神経節 / 上顎交感神経 / ラテックス・ビ-ズ / 赤血球ゴ-スト / 神経伝達物質 |
研究概要 |
軸索内輸送のメカニズムとその生理機能はまだ解明されていない。これを明らかにするために 神経細胞内に任意の物質を注入して、その軸索輸送を研究するのが一つの方法である。 この為に赤血球ゴ-スト内に任意の物質を封入し、赤血球ゴ-ストと神経細胞をPEGで融合させて、任意の物質の軸索内輸送を調べた。 このようにして神経細胞内に注入されたラテックスビ-ズは通常の神経細胞内粒子と同様に神経突起内を順向性にまた逆向性に移動した。 順向性の速度は0.53Mm/秒、逆向性は0.43Mm/秒 であった。 注入した物質の輸軸内輸送の速度は直径の大きさに反比例した。 直径が大きくなる程駆動蛋白質キネシンの量は直径の2乗に比例して増加するが、重量は3乗に比例し、しかも軸索内での粘性抵抗も大きく増加するため速度が低下した。 in vitroの軸索輸送の実験では、速度は本実験の1/3〜1/4であり、本実験は正常に近い状態であった。 また軸索内輸送に対する神経伝達物質の効果を調べた。 上顎交感神経節にアチルコリン(Ach)を投与すると軸索内輸送の停止がみられた。 この抑制効果は完全に可逆的であった。 AChのアゴニストのアレコリンはAChと同様の作用を有し、ニコチンでは軸索内輸送の停止効果は認められなかった。 これらの薬理学的実験よりAChはムスカリン性リセプタ-を介して軸索内輸送に影響することがわかった。 百日咳毒素IAPを作用させてAChを与えても軸索内輸送の抑制はみられなかったので、この抑制効果にはGi蛋白が関与していると考えられる。 さらにこの抑制効果が生じた時、軸索内のいくつかの場所に輸送物質が集積する。 これは微小管というレ-ルから輸送物質がはづれて集積する。 その後AChを除去すると この場所から集積した物質を使用して神経絲細が伸展していくのが認められた。 この現象はプラステイシテイそのものであると考えられる。
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