研究課題/領域番号 |
63480100
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
山岸 俊一 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 教授 (70014032)
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研究分担者 |
大沢 芳夫 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 非常勤の講師
古屋 喜四夫 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (40132740)
久木田 文夫 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (40113427)
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キーワード | Clチャネル / 細胞内Ca / 神経細胞 / アフリカツメガエル卵母細胞 / イカ巨大神経 / Ca依存性Clチャネル |
研究概要 |
神経細胞膜イオンチャネルの研究では、これまで主にカチオンチャネルが研究の対象であった。われわれは最近、イカ巨大神経およびラット脳のメッセンジャーRNAを移入してグルタメート受容体を発現させたアフリカツメガエル卵母細胞の二つの系で細胞内Ca^<2+>によって発現するClチャネルの所見を見出しているので、一つは興奮伝導部、一つはシナプス伝達部で見出された新型のCa依存性Clチャネルを解析し、その性質を明らかにすることを目指して研究を開始した。 ラット脳より抽出したメッセンジャーRNAをアフリカツメガエル卵母細胞に注入すると3-4日後にグルタメート投与によって反応する受容体電流が出現した。この標本でcell attatched patch法により記録された単一チャネル電流は、チャネルコンダクタンスが3.66pSで、平衡電位は-23mVでClの平衡電位に近く、外液中Cl濃度の変化によってシフトするのでClチャネルと推定された。また細胞内へのイノシトール3リン酸およびCa^<2+>注入によってチャネル電流が発現するので、グルタメート受容体の反応により、イノシトール3リン酸出現、Ca^<2+>動員を介して開口するClチャネルと判定させた。 人口海水中に浸したイカ巨大神経線維を用いて細胞内をK塩溶液(KCl、KF、K-glutamate)で潅流した状態をコントロールとし、細胞内に1-3mMCa^<2+>を加えて3分以上経過すると、コントロール状態では細胞内K濃度10倍変化により-25mV変化のKイオン選択透過性を示していた膜電位はCa投与により+25mV以上のプラスの電位勾配に反転し、K透過性を上廻るCl透過性を示し、いわゆるClチャネルの新たな開口を示した。静止膜においてKイオン透過性を上廻るアニオン透過性の出現は驚くべきことである。第2年度はNaチャネルおよびKチャネル透過性変化との相互関係を追求し、静止時および興奮時のClチャネルを検討する。
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