研究課題/領域番号 |
63480109
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
西 彰五郎 久留米大学, 医学部, 教授 (00080557)
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研究分担者 |
矢野 秀樹 久留米大学, 医学部, 助手 (60210308)
田中 永一郎 久留米大学, 医学部, 助手 (80188284)
三原 智 久留米大学, 医学部, 助手 (40166103)
井口 敞恵 久留米大学, 医学部, 講師
東 英穂 久留米大学, 医学部, 助教授 (10098907)
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キーワード | 脊髄 / 側角細胞 / 神経伝達物質 / 速い経過のシナプス電位 / 遅い経過のシナプス電位 / プロテインキナ-ゼC / Gタンパク / 細胞内情報伝達 |
研究概要 |
1.ネコ脊髄側角の神経伝達物質: 本年度は脊髄側角より遊離されるグルタメイト(Glu)とアスパ-テイト(Asp)のガスクロマトグラフ定量を行った。Glu、Asp共に自発および誘発性の遊離があること、自発性遊離にはCa依存性と非依存性の2種があり、誘発性遊離の大部分がCa依存性であることが明らかになった。この結果は、Glu、Asp両者が速い経過のEPSP(f.EPSP)を仲介しうることを示唆した電気生理学的結果と一致した。 2.側角ニュ-ロンの速い経過のIPSP(f.IPSP): f.IPSPの平衡電位は、側角細胞の静止電位と殆ど同じレベルにあることが見出され、ネコ側角細胞においてf.IPSPが現われ難い原因が明らかになった。f.IPSPは主にグリシンによって仲介され、一部の細胞ではγ・アミノ酪酸も仲介に与る。またf.IPSPはClイオンの選択的透過性の上昇によって惹起される。 3.側角ニュ-ロンの緩徐興奮性および緩余抑制性シナプス電位: 遅い経過のEPSPとIPSP(s.EPSPとs.IPSP)は共にノルアドレナリン(NA)によってそれぞれαー1とαー2受容体を介して誘起される。前者はprotein kinase Cが活性化されるCa依存性Kチャネル閉鎖、後者は膜内のG proteinが活性化され電位非依存性Kチャネルの開孔によって発生する。 4.腸管マイスナ-神経細胞のs.IPSPの細胞内情報伝達機序: マイスナ-神経細胞のs.IPSPもノルアドレナリン(NA)によって仲介される。このIPSP発生のため細胞内情報伝達機序をNA誘起過分極電位を対象に分析した結果、NAは細胞膜のG proteinを活性化して細胞内Ca^<2+>を遊離させ、このCa^<2+>が細胞膜のK^+透過性を上昇することによってs.IPSPを発生させることが明らかになった。
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