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1988 年度 実績報告書

網膜における化学伝達物質放出機構に関する研究:Ca非依存性放出とCa依存性放出

研究課題

研究課題/領域番号 63480111
研究機関岡崎国立共同研究機構

研究代表者

立花 政夫  岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (60132734)

キーワード網膜 / Ca電流 / シナプス / グルタミン酸 / アミノ酸輸送 / 化学伝達物質
研究概要

1.網膜水平細胞及び双極細胞のCa電流の解析を行った。本補助金により購入した除振台上に設置した倒立顕微鏡で網膜から単離した細胞を観察し、パッチ電極を使って、膜電位固定した。その結果、(1)キンギョの水平細胞と双極細胞のCa電流は、約-40mVよりも脱分極側で活性化されること、細胞内Caの増加によって不活性化されること、nifedipineやCdで阻害されるこ、BayK8644で増強されることからL型であると同定した。(2)マウスの双極細胞のCa電流は、約-60mVよりも脱分極側で活性化されること、急速に電位依存性に不活性化されること、nifedipineやBayK8644の影響を受けず、またCdによる阻害も弱いことから、T型であると同定した。この電流の活性化は伝達物質の一過性放出をひきおこすと考えられるので、双極細胞の持続性光応答が神経節細胞で一過性応答に変換される過程に関与している可能性が強い。
2.視細胞とミュラー細胞(網膜グリア細胞)のグルタミン酸応答を上記の装置を使って調べた。カメ網膜から単離した視細胞とサンショウウオ網膜から単離したミュラー細胞にL-グルタミン酸を投与したところ脱分極応答が発生した。両者とも、(1)L-及びD-アルパラギン酸に応答するが、カイニン酸・キスカル酸・NMDA・D-グルタミン酸に応答しないこと。(2)応答はキヌレン酸には影響されないがアミノ酸取り込み阻害剤で減少すること、(3)応答にはNaイオンの存在が必須であること、(4)応答の電流-電圧関係は非線形で強い内向き整流を示すことが明らかとなった。従って、これらの細胞のグルタミン酸応答はNa依存性の電位発生性グルタミン酸取り込み機構の活性化によるものと考えられる。この取り込み機構が逆転して稼動する場合グルタミン酸が細胞外に放出されることになり、Ca依存性のシナプス伝達に関与している可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] M.Tachibana: Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 85. 5315-5319 (1988)

  • [文献書誌] M.Tachibana: Biomedical Research. 9. 53-54 (1988)

  • [文献書誌] A.Kaneko: J.Physiol. (London). (1989)

  • [文献書誌] 立花政夫: 蛋白質核酸酵素. (1989)

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公開日: 1990-03-19   更新日: 2016-04-21  

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