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1990 年度 実績報告書

高山病の発症と水・電解質代謝調節ホルモンとの関連に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 63480116
研究機関名古屋大学

研究代表者

松井 信夫  名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (50023643)

研究分担者 宮本 法博  名古屋大学環境医学研究所, 助手 (10221615)
村田 善晴  名古屋大学環境医学研究所, 助手 (80174308)
妹尾 久雄  名古屋大学環境医学研究所, 助教授 (40135380)
キーワード高山病 / カルシウム代謝 / 燐代謝 / 副甲状腺ホルモン / 腎性 cyclic AMP / 低圧・低酸素
研究概要

カルシウム(Ca)は,情報伝達や細胞機能の調節に,燐(P)はエネルギ-代謝に重要な役割を担うが,これ迄低圧・低酸素下のCa・P代謝の報告は殆どない.我々は低圧・低酸素負荷時に血清Caが上昇し,Pが低下することを認めたので,Ca・P燐の代謝への副甲状腺ホルモン(PTH)の関与を明確にすることを目的とした.
健康成人を対象とし,低圧タンクを用いて6,000m担当の模擬高度負荷を6時間行い,血液と尿を採取した.PTHの測定には,intact PTHの測定キットを用い,またPTHの作用の指標としての腎性cAMPを測定した.
模擬高度負荷により,血清Caは上昇傾向を示し,Ca^<++>は有意に上昇した.逆に,血清P濃度は有意に著しく低下した.尿中Ca排泄量は,血清Caの上昇にも拘らず減少したが,尿中P排泄量は血清Pの低下に応じて減少した.血清PTHは上昇し,その上昇は実験終了時に有意となった.腎性cAMPも負荷前半から増加して,負荷後半には前値の2倍に達した.PTHは,腎に作用してCaの再吸収を促進し,またPの排泄を促進する.血清Caの上昇にも拘らず,尿中排泄量が減少したのは,PTHの分泌増加によりCaの再吸収が促進したためと解釈できる.一方,Pの排泄は減少したが,これはPTHの上昇にも拘らず血清Pの低下が著しいためと考えられる.血清Pの低下の機序は,低酸素下でのエネルギ-生成を担うアネロ-ビックな解糖系の亢進による燐酸の細胞内摂取の増加のためと考えられる.
即ち,低圧・低酸素下ではエネルギ-需要を満たすために起こるCa・P代謝の異常がPTHの分泌増加により助長されることが示され,今後この代謝変化の生理的乃至病理的意義の解明が必要と考えられる.

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Kaori Sueda: "Responses of cortisol and testosterone to simulated 6,000m altitude exposure in men." Environmental Medicine. 34. 125-128 (1990)

  • [文献書誌] 松井 信夫: "環境適応とホルモン." 日本内分泌学会雑誌. 66. 787-787 (1990)

  • [文献書誌] 神部 福司: "急性低圧・低酸素環境暴露時のカルシウム・燐代謝." 名古屋大学環境医学研究所年報. 42. (1991)

  • [文献書誌] 吉野 昌孝: "低酸素順応ラットの好気的代謝促進におけるCa^<++>の役割." 名古屋大学環境医学研究所年報. 42. (1991)

  • [文献書誌] Nobuo Matsui: "Environmental Stress" ACES Publishing Ltd, 543 (1990)

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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