ペルオキシソ-ム異常疾患群は最近その存在が認知された重篤な遺伝疾患である。ペルオキシソ-ム局在性機能の欠損は疾患によって様々であるが、我々は最も多く認められるペルオキシソ-ム脂肪酸酸化能低下に注目し、この酸化系諸酵素の欠損をイムイノブロット法で明らかにし、新しい疾患も見出してきた。本研究では、これら諸疾患の病因解明に重要であるが、未検討の諸項目について検討した。 1.ペルオキシソ-ム脂肪酸酸化系諸酵素のイムノブロット解析が十分なされていない新生児副腎白室ジストロフィ-について調べ、この疾患での酵素欠損のパタ-ンが一定でなく、本疾患の病因はヘテテロなものであると推定された。 2.未だ酵素学的解析が行われていてい極長鎖脂肪酸活性化酵素とジヒドロキシアセトンリン酸アシル転移酵素をラット肝臓ペルオキシソ-ムより高度に精製した。特に前者は長鎖脂肪酸活性化酵素とは異なる新しい酵素であることを確認した。これら精製標品は未だ単一ではないが、モノクロ-ン抗体作成に用いることが可能と思われる。 3.ペルオキシソ-ム構造欠損の疾患の病院解明にはペルオキシソ-ム形成機構を明らかにする必要がある。そこで以下の2項目について検討した。ペルオキシソ-ム膜内在性ポリペプチドの中で最も量が多くかつ分子量の大きい7OkDaポリペプチドのcDNAをクロ-ニングし、その構造決定をおこなった。その結果、本ポリペプチドは膜貫通型で外側露出部分にATD結合部位が存在することが推定された。またマトリックス局在タンパク質の局在化シグナルを検討した結果、一群の酵素の局在化シグナルはC末端のセリン・リジン・ロイシンであることを明らかにした。
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