研究課題/領域番号 |
63480144
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
吉田 浩己 鹿児島大学, 医学部, 教授 (90036476)
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研究分担者 |
藤吉 利信 鹿児島大学, 医学部, 助手 (50173480)
吉田 愛知 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (20036453)
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キーワード | コレステロ-ルエステル / トリグリセライド / 酸性リパ-ゼ / ラット |
研究概要 |
広範な組織、臓器にコレステロ-ルエステルの大量蓄積を生じ、その結果、小児期に致命的な経過をとるWolman病の疾患モデルを呑竜ラットに樹立した。その臨床、病理、生化学、遺伝的特徴について検索した結果、この疾患ラットは、Acid lapaseが遺伝的に欠損しているために、コレステロ-ルエステルとトリグリセライドが特に肝に異常に蓄積し、死亡することを昭和63年度に明らかにした。先天的にAcid lipaseが欠損した場合でも1才未満で死亡するWolman病患者では動脈硬化病変はほとんど認められないが、成人まで生存するcholesterol ester storage病では動脈硬化症が早期に高度にみられる。このことにより、動脈硬化症は多元的であり、acid lipaseの相対的な活性の低下も動脈硬化促進の重要因子であると考えられる。ゆえに、動脈硬化症の素因を十分に有するこのラットは、動脈硬化発症モデルにもなる可能性があるので平成元年度は、そのための基礎研究を行った。疾患ラットは正常及びヘテロラットに比し,血中のコレステロ-ルが増えていた。しかし、生後120日前後の死亡直前に屠殺し、大動脈、腸管膜動脈をWhole mount法をもちい、オイルレット染色で脂質の沈着有無を検索し、さらにHE染色で組織学的に詳細に検索したが、動脈硬化性変化は認められなかった。そこで、他の動脈硬化促進因子の附加実験を開始した。まず、5%、2%、1%、0.25%コレステロ-ル飼料を投与した。非疾患ラットは、すべての混合飼料でも生存したが、疾患ラットは5%、2%、1%のコレステロ-ル混合飼料では、実験開始数日以内に死亡した。現在0.25%飼料で経過観察中である。またAcid lapase欠損状態で長期間のコレステロ-ル食の影響を明らかにするために疾患ラットの大動脈を非疾患ラットへ移植し、経過観察中である。
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