研究概要 |
平成元年度研究実施計画に従って次のように順調な研究成果を得た。 1.黄色ブドウ球菌Wood46株及びV8株を用いて、α毒素とロイコシジンS及びF成分を加藤らの方法によって単離精製し、実験に供した。 2.ブドウ球菌α毒素に感受性の高いウサギ赤血球膜と〔^<32>P〕-NADを用いてα毒素のADPリボシル転移酵素活性をSDSスラブ電気泳動法とオ-トラジオグラフィによってしらべた結果、分子量95K,52K,41K,37K,28K,10Kの膜蛋白質がADPリボシル化され、特に分子量37Kと41K膜蛋白質が著しくADPリボシル化された。さらに、反応系にGTPを添加すると37K及び41Kいずれの膜蛋白もADPリボシル化が増強された。この事実は37Kも41KもGTP結合蛋白質と考えられる。 3.ブドウ球菌ロイコシジンS成分はウサギ多核白血球(好中球)膜ホスホリパ-ゼA_2活性を亢進した。ロイコシジンF成分はウサギ好中球膜のイノシト-ルリン脂質系ホスホリパ-ゼC活性を亢進させNADとGTP添加によって酵素活性がさらに増強される新知見を得た。 4.ウサギ好中球膜を〔^<32>P〕NADとブドウ球菌ロイコシジンS成分あるいはF成分と37℃に保温30分後、反応停止、SDSスラブ電気泳動法とオ-トラジオグラフィによって分子量37Kと41K膜蛋白がそれぞれ強くADPリボシル化された。α毒素とS成分は膜37K蛋白をADPリボシル化させて膜ホスホリパ-ゼA_2活性を亢進させ、α毒素とF成分は膜41K蛋白をADPリボシル化させて膜イノシト-ルリン脂質系ホスホリパ-ゼC活性を亢進させた。さらに、これらのADPリボシル化は、すべて反応液にGTPを加えると増強することから37K及び41K蛋白はGTP結合蛋白質である新知見を得た。
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