研究課題/領域番号 |
63480157
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中島 捷久 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (40012778)
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研究分担者 |
信澤 枝里 東京大学, 医科学研究所, 助手 (90183904)
中島 節子 国立公衆衛生院, 微生物学部, 室長 (80124402)
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キーワード | インフルエンザウイルス / 血球凝集素 / シアル酸結合部位 |
研究概要 |
インフルエンザウイルス血球凝集素(HA)は細胞表面に存在するレセプターのシアル酸に結合する。このシアル酸結合部位の構造はH3サブタイプにおいてX線解析像が示されたが、HAには13のサブタイプがあり、結合部位構造の一般的特徴は今後の問題である。従って他のサブタイプのシアル酸結合部位をH3サブタイプの構造を参考にして解析する必要がある。我々が用いた解析方法は、H1サブタイプHAのCDNAを5U40ウイルスの後期遺伝子領域に挿入したレコンビナントウイルスを作成し、サル腎細胞に感染させHA蛋白質を細胞表面に発現させる系と部位突然変異法を組み合わせたものである。種々のアミノ酸部位を変化させ、変異HAを発現させ、ヒト血球がHAに結合するかどうかをもってシアル酸結合に関するアミノ酸部位を同定する試みを行なった。この結果H1サブタイプではH3サブタイプとは異なり226番目のアミノ酸がシアル酸結合に特別な役割を担っている事が明らかとなった。H3サブタイプでは226番目のアミノ酸はシアル酸結合には直接関与せず、シアル酸結合の特異性(ガラクトースとシアル酸との結合が2+3か又は2+6)に関与している。しかしH1サブタイプにはこのような特異性は見い出されていない。我々はさらに他のサブタイプにおいてもこのような特異性が見られない事を明らかにした。従ってシアル酸結合部位構造の一般的性質を明らかにするためには、H1、H3以外のHAのアミノ酸配列等も比較検討する必要がある。現在13種のHAサブタイプのHAのアミノ酸配列をすべて明らかにすべくクローニングと塩基配列の決定を行なっている。なお、変異HA作成の過程でシアル酸結合能のないHAが膜融合活性をもつ事を明らかにし、HAの膜融合機構解明に貢献した。
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