研究課題/領域番号 |
63480160
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
上田 重晴 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (90068453)
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研究分担者 |
奥野 良信 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (30112064)
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キーワード | 麻疹ウイルス / 神経病原性 / 赤血球凝集素 / 脳炎 / レセプタ-結合ドメイン / 麻疹ウイルスH遺伝子 |
研究概要 |
ウイルスの神経病原性にかかわるウイルス側の因子を解明するため、先ずウイルスのレセプタ-結合ドメインに着目して、1株の麻疹ウイルス(長畑株)から、成熟ハムスタ-脳に対して病原性を示す株(NーHB株)を分離選択し、ウイルスの細胞吸着に関与する赤血球凝集素(Hタンパク)をコ-ドする遺伝子の塩基配列を決定し、神経病原性のない親株(NーV株)のH遺伝子の塩基配列と比較検討した。 感染Vero細胞から全RNAを抽出し、オリゴdTセルロ-スカラムでmRNAを分離した。GublerーHoffmarの方法に準じて、逆転写酵素を用いてcDNAを合成し、λgT10ベクタ-に組み込んで、cDNAライブラリ-を作成後、SSPEウイルス山形1株のH遺伝子をプロ-ブとして、特異的cDNAをスクリ-ニングした。Taqポリメラ-ゼを用いたキロシ-ケンスを行って塩基配列を決定した。ダイレクトシ-ケンスによる補正を同時に行った。 NーHB株もNーV株もH遺伝子は1851塩基で、両株間のホモロジ-は99.5%であった。塩基配列の異なる個所は10ヵ所であった。塩基配列から予測されるアミノ酸は617残基で、両株間のホモロジ-は98.9%であった。コ-ディング領域でのアミノ酸の異なる個所は7ヵ所あった。いづれも1塩基の違いによっていた。NーV株からNーHB株への変異はLeu(43)→Phe、Thr(107)→Ala、Ser(126)→Asn、Ile(308)→Phe、Leu(321)→Pro、Ser(370)→Thr、Phe(431)→Leuであった。 これらの変異のうち、Thr(107)は比較のため文献上から検索したEdmonston株でも同じであったが、NーHBではAlaであった。同様にIle(308)がPhe、Leu(321)がProとなっていた。このうち321番目のLeu→Proの変異がHタンパク分子の立体構造、ひいてはレセプタ-結合ドメインの構造変化をもたらす可能性があり、神経病原性との関連において重要な変化であると考えている。
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