研究課題/領域番号 |
63480162
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
本間 守男 神戸大学, 医学部, 教授 (10004566)
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研究分担者 |
伊藤 正恵 神戸大学, 医学部, 助手 (10201328)
堀田 博 神戸大学, 医学部, 助教授 (40116249)
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キーワード | センダイウイルス / マウス感染症 / プロテアーゼ阻害剤 / 肺器官培養 / アプロチニン / トラジロール |
研究概要 |
本研究はおおむね当初の計画に沿って順調に進んでいる。 1.マウス肺器官培養によるスクリーニングの技術的検討。本研究に必要な以下の方法を確立した。3週令ICR雄マウスに2X10^6ケのセンダイウイルスを経鼻接種2時間後に肺を摘出し、これを2mm角以下に細切、一匹分の肺を4mlの培養液に浮遊し、6cm径のシャーレに移し34℃のCO_2ふらん器で培養した。本条件下でウイルスは常に活性型の状態で回収され、これまでの成績通り多段増殖を営む事が確認された。 2.プロテーゼ阻害剤のスクリーニング。上記培養系に培養開始時に種々の濃度のプロテアーゼ阻害剤を入れ、5日間にわたり24時間ごとに培養上清の一部を取り、それぞれについて活性型ウイルスと全ウイルス(活性型および非活性型ウイルス)量を、蛍光抗体法およびトリプシン存在下のプラック法により別々に測定し、両者の差および阻害剤無添加対照のウイルス量との差から阻害効果を判定した。その結果、市販のプロテアーゼ阻害剤7種のうち3種に、また非市販品13種(血栓止血研:岡本名誉教授提供)のうち3種に阻害効果が認められた。 3.マウス感染系におけるプロテアーゼ阻害剤の効果。予備的実験として、上記の肺器官培養で阻害効果を認めた阻害剤のうち、アプロチニン製剤のトラジロールを用いて、in vitroの増殖阻害効果がマウス生体系に於ても認められるか否かを調べた。3週令ICRマウスに0.1LD50のウイルスを経鼻感染させ、4時間後からトラジロールの頻回経鼻投与を行い、経日的に肺を摘出し、活性型ウイルスと全ウイルス量とを測定した。その結果、トラジロール投与群では対照に比し両ウイルス量とも有意に低値を示した。今後ウイルス量を増やして、プロテアーゼ阻害剤の発症阻止効果を調べる。
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