研究課題/領域番号 |
63480164
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
杉村 和久 北海道大学, 免疫科学研究所化学部門, 助教授 (80127240)
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研究分担者 |
済木 育夫 北海道大学, 免疫科学研究所化学部門, 助手 (80133776)
東 市郎 北海道大学, 免疫科学研究所化学部門, 教授 (50028411)
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キーワード | リンパ球増殖阻止因子 / LBIF / LBIF遺伝子 / 細胞内情報伝達機構 / 自己免疫疾患 / 過活性化B細胞 |
研究概要 |
1987年、ヒトのマクロファ-ジ様細胞株U937の培養上清に新しいリンパ球増殖阻止因子、LBIFを同定し、その分子構造と作用機序の解析を進めた。以下にその結果を要約する。 (1)高速液体クロマトグラフィ-により単一精製されたLBIFをトリプシンおよびシアン化臭素にて部分消化し、それらのフラグメント23個についてN末アミノ酸配列を決定した。この成績をもとにオリゴヌクレオチドプロ-プを化学合成し、LBIF遺伝子を単離し、その遺伝子の全配列を決定した。 (2)LBIFの精製標品を用いて、Tリンパ球活性化の細胞内情報伝達プロセスにおよぼすLBIFの影響を調べた結果、Caイオンの動態、イノシト-ル3リン酸の代謝、プロテインキナ-ゼCの活性化に影響を与えないことが明らかになった。 (3)全身性自己免疫疾患モデルマウス、MRL1pr/1prの過活性化B細胞に及ぼすLBIFの効果の解析から極めて興味ある結果が明らかとなった。即ち、発症マウスのBγリンパ球のみがLBIFに無反応性を示し、BμおよびBαは正常マウスと同様、LBIFに強く反応し、その抗体産生は抑制される。即ち、LBIFの作用機序を解析することにより、MRLマウスに認められる過活性化B細胞の発生機構の解明を期待できる。さらに、ヒトのSLEの病因解明の糸口となる可能性がある。
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