研究課題/領域番号 |
63480169
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山岸 秀夫 京都大学, 理学部, 講師 (90025429)
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研究分担者 |
藤本 真慈 京都大学, 胸部疾患研究所, 助手 (60199370)
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キーワード | 胸腺細胞 / 末梢リンパ血 / 環状DNA / TCR VD(D)DJ再配列 / 新しいVδ鎖 / DδーDδシグナル結合 / 定着性Jδ_2型リンパ球 / TCRδ鎖欠失組換え |
研究概要 |
マウス染色体DNAライブラリーを調製し、T細胞抗原レセプター(TCR)の鎖の再配列遺伝子探索の中でえたJδ_2ーCδ領域を足掛りとして、25Kbに及ぶTCRδ鎖領域のプローブをえた。このプローブを用いて、成熟マウス胸腺細胞と脾臓細胞の環状DNAから調製されたDNAクローンライブラリーを探索し、TCRδ鎖の遺伝子再配列に関する新しい知見をえた。1.TCRδ鎖のV遺伝子として新にVδ_7、Vδ_8、Vδ_9の3種を追加した。Vδ_7はVα_2と相同で、Vδ_8はVα_<10>と相同で、胎児、成体を問わずTCRα鎖、δ鎖に共用されるが、Vδ_9は全く新しいもので成体胸腺に用いられている。2.2つのDδ間介在領域の切り出されたシグナル結合を発見した。転写産物の解析からDーJ結合の欠損型しか知られていないので、TCRδ鎖遺伝子再配列の主経路として成体胸腺でのDD→VDD→VDDJ、胎児胸腺でのD→VD→VDJが示唆された。3.Jδ_2を用いる再配列は、成体胸腺細胞でのみ見られ、成体脾臓の末梢血中には見られなかった。成体胸腺でVDDJδ_2再配列を行ったTCRδ鎖は、末梢の定着性リンパ血中で利用されている可能性がある。4.末梢血や定着性リンパ血中におけるTCRδ鎖の多様性は、α/δTCRの認識する抗原の多様性を示唆する。5.VとDδ_1の間に存在し、ヒトのδRecと相同性の高い2つの遺伝子、δRec_1とδRec_2を発見した。またCδとJαの間に存在するψJαも検出した。環状DNAクローン中から発見されたδRecーDδ_2結合、Dδ_2ーψJα結合は、TCRδ鎖遺伝子を欠失させるのに役立つ。TCRδ鎖を欠失させることにより、TCRα鎖の遺伝子再配列をひきおこすことができる。δRecーψJαの組換え反応は、TCRδ鎖産生細胞系譜とTCRα鎖産生細胞系譜とを決定する鍵を握る重要な反応といえる。
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