研究課題/領域番号 |
63480171
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
免疫学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
高津 聖志 熊本大学, 医学部, 教授 (10107055)
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研究分担者 |
山口 直人 熊本大学, 医学部, 助手 (00166620)
富永 明 熊本大学, 医学部, 助教授 (50172193)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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キーワード | Bリンパ球分化因子 / IL-5 / IL-5レセプタ-(IL-5R) / Ly-1B / TRF / 好酸球分化 / IgA産生 / TGF-β |
研究概要 |
TRF/IL-5(以下IL-5と略す)はBリンパ球増殖分化因子として単離されたが、骨髄細胞に作用し好酸球を成熟させたり未熱Tリンパ球CTLへの分化を促進するコファクタ-としても作用する。本研究により、IL-5がIgA産生の増強することを明らかにした。抗原感作マウスの脾臓よりB細胞を調製し抗原とIL-5を添加しIgA産生を調べたところ、IL-5は表面IgA陽性B細胞に抗原と共に作用し、抗原に特異的なIgA産生を誘導することがわかった。他のサイトカインにこのような作用はなかった。精製B多細胞をリポ多糖体で刺激する系においてはIL-5のみならず、TGF-βもIgA産生を促進し、IL-5とTGF-βは相加的にIgA産生を増強した。この場合TGF-βは表面IgA陰性に作用しIgA産生を増強し、IL-5はこの過程にも相加的に作用した。このようにIL-5はTGF-βとは異なる機構によりIgA産生を増強させることが判明した。次にIL-5レセプタ-(IL-5)の物性を調べた。IL-5応答性株化B細胞(T88-M)は2種類のIL-5Rを発現していた。この細胞の膜画分でラットを免役しその脾細胞とマウス骨髄腫細胞を細胞融合し、抗IL-5R抗体(H7、T21)を作製した。H7抗体は分子量約60kdの蛋白を認識し、その蛋白はIL-5結合性を有することが明らかとなった。H7はIL-5の生物活性を完全に阻害する。H7を用いた膜蛍光抗体法により正常細胞亜集団を検索したところ、Ly-1陽性の膜腔内B細胞がH7陽性であり、IL-5に応答しIgM産生細胞に分化することが明らかとなった。このような特異性を示す抗体の作製は世界で初めてであり、現在この抗体を用いてIL-5R遺伝子のクロ-ニングをしている。2年間に目的の研究課題を順調に達成した。
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