研究課題/領域番号 |
63480175
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
石西 伸 九州大学, 医学部, 教授 (80037340)
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研究分担者 |
平田 美由紀 九州大学, 医学部, 助手 (30156674)
田中 昭代 九州大学, 医学部, 助手 (10136484)
久永 明 九州大学, 医学部, 講師 (20128078)
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キーワード | 無機金属化合物 / 三酸化ヒ素 / リンパ球芽球化反応 / サイクロフォスファミド |
研究概要 |
ヒ素化合物のうち、三酸化ヒ素(As_2O_3)のC57BLマウスに対する免疫系への影響を観察するために、予備実験としてAs_2O_37.63mgAs/kgを週5日、3ヵ月間にわたってマウスへの経口投与を行い、経日的に屠殺し、マウスの脾臓よりリンパ球を採取し、リンパ球芽球化反応を行い、免疫能を測定した。さらに、免疫抑制剤も同時に週1回20mg/kg腹腔内投与(3ヵ月間)を行い、As_2O_3と免疫抑制剤との相互作用についても観察し、免疫抑制剤としてサイクロフォスファミドを用いた。実験群は、1.As_2O_3群、2.As_2O_3+サイクロフォスファミド群、3.リン酸緩衝液+サイクロフォスファミド群、4.リン酸緩衝液(対照)群の4群である。 投与開始時、2週間、4週間、2ヵ月、3ヵ月後に各群5匹ずつ生殺し、各マウスの脾臓よりリンパ球を採取し、購入したCO_2インキュベーターで24時間培養し、その後、3Hでリンパ球をラベルし、免疫能を測定した。その結果、As_2O_3群では対照群に比べて顕著な免疫抑制効果は認められなかった。また、サイクロフォスファミド投与群では、投与量20mg/kgにおいて、対照群に比べて免疫賦活化作用が観察された。 予備実験の結果より、As_2O_37.63mgAs/kgの投与量はLD_<50>の1/5量として用いたが、急性毒性のため死亡するマウスが認められたため、投与量をさらに低くする必要があると考えられた。また、As_2O_3と免疫抑制剤であるサイクロフォスファミドとの併用によって、免疫系への相互作用を観察しようとしたが、サイクロフォスファミド20mg/kgのマウスへの投与では逆に免疫能を賦活化した状況が認められた。サイクロフォスファミドでは投与量により、免疫能の抑制や賦活化が観察され、二面性を有しているので、As_2O_3およびその他の金属化合物と併用した相互作用の観察は困難であると考えられた。
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