研究課題/領域番号 |
63480176
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
桜井 治彦 慶應義塾大学, 医学部・衛生学公衆衛生学教室, 教授 (70051357)
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研究分担者 |
照屋 浩司 杏林大学, 医学部・衛生学教室, 助手 (20197817)
鎌倉 光宏 慶應義塾大学, 医学部・衛生学公衆衛生学教室, 専任講師 (60169604)
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キーワード | 許容濃度 / クロム化合物 / 白金化合物 / 形質転換 / 赤血球ゴ-スト / 細胞融合法 / 二次スクリ-ニング法 |
研究概要 |
昭和63年度に収集・選択した各種株細胞の基本的性状、すなわちマイコプラスマ汚染の有無、細胞培殖能、コロニ-形成率、接触阻止能などを確認した細胞のsubcloneに対して各種実験を行った。C3HIoT1/2細胞およびBALB/3T3細胞を用いた形質転換実験では6価クロム化合物であるChromium trioxideがある程度強い発癌性を示し、3価化合物とは区別して許容濃度を設定すべきであることが示唆された。次にLーB82細胞をリシピエントとした赤血球ゴ-スト法によるクロム化合物の細胞移入を試み、ウシ胎児血清の有無による生育培地の条件を変化させてやることで、クロム化合物を移入された融合細胞がどのように死滅していくかを観察した。毒性は6価化合物移入群の方が3価化合物移入群よりも強く認められ、また融合細胞に対しても外界の血清成合の存在が毒性を減少させることが認められた。最後にヒトリンパ球を用いてIgE産生能を指標とすることにより、白金化合物によるI型アレルギ-の研究を行った。ヒトのリンパ球の系においては抗原特異的免疫反応を再現性をもって行なうことは非常に難しく、今回の実験に於てもPWMの存在下において始めて曝露によるIgEの産生を確認することことができた。白金化合物の電荷については、2価の白金の方が4価のものより、I型アレルギ-に関しては、アレルギ-惹起性が強いものと考えられた。許容濃度の値はin vitroの結果のみならず、曝露状況、疫学的知見などを合わせて考慮・決定されるべきであるが、本研究で行った一連の実験は、定量性・再現性の点で問題を残しているものの、改良を重ねることにより二次スクリ-ニング法として採用され、延いては2の結果が許容濃度決定および改正の参考デ-タとして活用される可能性が十分にあるものと考えられた。
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