研究課題/領域番号 |
63480178
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
岡田 晃 金沢大学, 医学部, 教授 (10019573)
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研究分担者 |
中村 秀喜 金沢大学, 医学部, 助手 (70172426)
野原 聖一 金沢大学, 医学部, 講師 (70115260)
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キーワード | 環境刺激 / 末梢性知覚 / 振動覚 / 触圧覚 / 感覚閾値 / 振動工具使用者 |
研究概要 |
振動覚、温度覚、触圧覚などの末梢性知覚の客観的な測定法を確立するため、まず2〜400Hzの各種周波数の振動暴露を指尖に加え、振動刺激の加速度の上昇・下降、刺激のオン・オフおよび被験者が知覚した加速度をコンピュ-タ-上で制御・管理するための振動感覚閾値測定プログラムを開発し、小型加振器から発生される各種振動刺激に対する振動感覚閾値のレベルを短時間で測定することができるように装置を改良した。次に、指尖にあてたプロ-ベを温度覚測定用アンプを用いて1秒に約1℃上昇させる温度覚閾値測定装置を試作した。被験者が温度差を知覚し指で押すことによりスイッチが切れ、その時の温度上昇がコントロ-ラ-によって計測され同時にパネルメ-タ-に表示されるようにし、被験者が知覚した温度上昇のレベルから温度覚閾値の定量的評価を可能とした。これらの測定装置とすでに試作されている二点弁別閾値計を用いて振動感覚閾値、温度覚閾値、二点弁別閾値の健常人における正常レベルを決定した。また加齢に伴って100Hz、200Hzといった高い周波数を中心に全周波数域で振動感覚閾値が上昇することを明らかにした。この加齢の影響は、温度覚閾値、二点弁別閾値においても観察された。次に、これらの測定装置を振動工具取扱い業務従事者の末梢性知覚の定量的評価に応用した。チェンソ-使用者のなかでレイノ-現象のある者は、ほとんどの周波数域の振動感覚閾値、温度覚閾値、二点弁別閾値のいずれにおいても健常対照群に対して有意な閾値の上昇を示した。一方レイノ-現象はないがしびれや痛みのある者は温度覚閾値において健常対照群に対して閾値の有意な上昇を示した。このように、本装置は手指に自覚症状を訴える者の末梢性知覚障害の重症度の総合的評価に有用であった。今後は、本研究において確立された測定法を種々の環境刺激の単独および複合暴露下における末梢性知覚への影響の解明に応用していく予定である。
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