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1988 年度 実績報告書

アルコール性肝障害の成因における栄養学的背景に関する研究.1アルコール性脂質過酸化における糖質と脂肪の関与について

研究課題

研究課題/領域番号 63480179
研究機関信州大学

研究代表者

村山 忍三  信州大学, 医学部, 教授 (90020718)

研究分担者 奥山 周作  信州大学, 医学部, 助手 (40152441)
那須 民江  信州大学, 医学部, 講師 (10020794)
キーワードアルコール性肝障害 / 炭水化物 / チトクロームPー450 / 過酸化脂質 / トリグリセライド / グルタチオン / 赤血球溶血反応
研究概要

1糖質と肝薬物代謝酵素系:アルコールの摂取によってチトクロームPー450が増加し、アルコールのミクロソームにおける代謝(MEOS)が亢進した。この現象は低糖質食によって増強された。2糖質と肝過酸化脂質(MDA)、トリグリセライド(TG)およびグルタチオン(GSH):アルコールの摂取により肝のMDA値が増加し、その程度は低糖質食によって強められた。しかし血清中のMDA値はアルコールの影響をうけなかった。TGに関してはアルコールを低糖質食と共に与えた場合においてのみ増加した。病理標本を作成したところ、このTG値の結果に一致して、低糖質食と共にアルコールを与えた群においてのみ小葉中心領域に脂肪変性が認められた。一方肝のGSHはアルコールを低糖質食と共に与えた場合においてのみ減少した。このGSHの減少はアルコールを摂取したというよりも、糖質を減らしたことに起因することが明らかとなった。3糖質によるアルコール性過酸化脂質の生成の修飾に関する機構:低糖質によってミクロソームの過酸化脂質生成速度が増大した。アルコールを低糖質食と共に摂取すると、この生成速度は一層進んだ。赤血球膜の溶血作用を過酸化脂質による細胞毒性の指標として検討したところ、アルコールを低糖質食と共に与えた場合、ミクロソームの赤血球溶血作用は最大であった。一方ミクロソームの赤血球溶血作用はGSHの添加により完全に阻止された。〔結論〕ラットを用いた実験において低糖質によってアルコール性肝障害が増強されることが判明した。その機構として、低糖質食→MEDSの活性亢進およびGSHの減少→アルコールの代謝亢進、活性代謝物(活性酸素、アセトアルデヒド等)の生成増大、解毒機能の低下→過酸化脂質、TGの蓄積増加→アルコール性肝障害の増強が推察された。従来糖質はエネルギー源としての重要性が主として知られているが、このようにある種の疾病の発現を左右する新らたな機能も有する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] T.Nakajima;H.Ikatsu;T.Okino;N.Murayama;I.Yonekura;A.Sato: J.Nutr.

  • [文献書誌] 中島民江,井勝久喜,王瑞生,沖野知範,村山忍三,米倉郁美,佐藤章夫: "アルコール代謝と肝" 「アルコール代謝と肝」研究会, (1988)

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公開日: 1990-03-19   更新日: 2016-04-21  

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