研究課題/領域番号 |
63480179
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
村山 忍三 信州大学, 医学部, 教授 (90020718)
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研究分担者 |
奥山 周作 信州大学, 医学部, 助手 (40152441)
那須 民江 信州大学, 医学部, 講師 (10020794)
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キーワード | エタノ-ル / 炭水化物 / 肝障害 / 蛋白質 / 脂肪 / γ-グルタミルトランスペプチタ-ゼ / トランスアミナ-ゼ / コレステロ-ル |
研究概要 |
アルコ-ル性肝障害の成因における糖質の役割を、某健康センタ-においてヘルスチェックを受けた男2165人(平均年齢は50.0+10.3)を対象として調査した。1.アルコ-ル摂取と肝機能との関連性:1)アルコ-ルの摂取の増加に伴いγ-GTP値が上昇した。各年齢別にみると、20歳代を除く各年齢においてアルコ-ルの摂取量の増加に伴いγ-GTP値が上昇した。60歳代におけるこの上昇は他の年齢層の上昇に比較するとゆるやかであった。2)アルコ-ル摂取量の増加に伴いGOTとGPTおよびGOT/GPT値も上昇した。これらの上昇を年齢別にみると、それぞれ30-50歳代、40歳代、50-60歳代で有意であった。3)トリグリセライド(TG)値もアルコ-ル摂取の増加に伴い上昇した。このTGの変化を年齢別にみると、30-40歳代において有意に上昇していた。4)いずれの年代層においても、アルコ-ル摂取の増加に伴いHDL-コレステロ-ルが増加し、20歳代を除く全年齢層においてHDL/LDL比が減少した。しかし総コレステロ-ルはアルコ-ルの影響を受けなかった。2.アルコ-ル摂取と栄養摂取:アルコ-ルの摂取量の増加に伴い炭水化物源の摂取量が減少した。しかし蛋白質と脂肪の摂取量はアルコ-ルの影響を殆ど受けなかった。3.アルコ-ルによるγ-GTPの上昇と糖質摂取との関係:20歳代において一般に糖質はγ-GTPと負の相関関係を持つが、30歳代においてはγ-GTPの上昇に対する糖質の影響はあまり認められなかった。40歳代と50歳代においては一般にγ-GTPの上昇と糖質の間に負の相関関係が認められた。60歳代においてはγ-GTPの上昇と糖質の摂取との間に若干負の相関関係が認められた。一方蛋白質と脂肪は20歳代においてのみγ-GTPと性の相関関係を示した。以上より、糖質がアルコ-ル性肝障害の進展に影響を及ぼすことが伺えるが、蛋白質と脂肪の摂取はほとんど影響を与えないことが推察された。
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