研究課題/領域番号 |
63480184
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
公衆衛生学
|
研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
原 一郎 関西医科大学, 医学部, 教授 (10148497)
|
研究分担者 |
円藤 陽子 関西医科大学, 医学部, 助手 (50193438)
上田 照子 関西医科大学, 医学部, 助手 (40105763)
高坂 祐夫 関西医科大学, 医学部, 助手 (20077689)
吉田 宗弘 関西医科大学, 医学部, 講師 (30158472)
|
研究期間 (年度) |
1988 – 1989
|
キーワード | 職業性曝露 / p-tert-ブチルフェノ-ル / クロルピリホス / 4.4'-メチレンビス(2-クロロアニリン) / 経皮呼吸 / 尿中代謝物 / 生物学的モニタリング |
研究概要 |
化学物質の職業性曝露には、経気道吸収とともに経皮呼吸が大きな位置を占めており、両者のどちらに大きな比重があるかを知ることは曝露対策の上で重要なことである。本研究は、化学物質の職業性曝露における経皮吸収の寄与度を、主として実際の作業現場での曝露調査(対象物質:クロルビリホス(CP)、p-tert-ブチルフェノ-ル(PTBP)、4.4'-メチレンビス(2-クロロアニリン)(MBOCA))により判定しようとするものである。また、調査結果から経皮呼吸の寄与を推定するための前提となる知見を得るため、代謝、尿中排泄、経皮呼吸に関する実験的研究をあわせて実施した。結果は以下に述べるとおりである。 1.実験的研究:CPとPTBPの代謝と尿中排泄率をラットを用いて検討した。その結果、いずれの物質も投与後48時間以内にその大半が尿中に排泄されることが確認された。また、ボランティア2名を対象にして、PTBPの経皮吸収実験を行い、皮膚に付着したPTBPがきわめて速やかに吸収されることを認めた。 2.フィ-ルド調査:CPを散布する作業に対して曝露調査を実施した。作業中にマスクを使用しているこの職場では、尿中代謝物濃度は気中CP濃度よりもむしろ身体付着CP量とつよく相関することと、マスク装着によってCPの経気道吸収がほぼ完全に防止されていたことより、曝露のほとんどは経皮吸収であると結論した。次にPTBPの使用職場において同様の曝露調査を実施した。PTBPの尿中排泄量は、気中濃度、呼吸量、作業時間、マスク捕集量より計算によって導かれる経気道吸収量よりも明らかに多かった。このことよりPTBP曝露作業においても経皮吸収の存在していることが定量的に確認された。さらに、MBOCA取り扱い作業においても曝露調査を実施し、気中濃度が等しくても、作業形態に伴って尿中代謝物濃度が変化することが判明し、経皮吸収の存在が示唆された。
|