研究概要 |
主な研究内容は以下の3項目である。 1) 家族性高コレステロ-ル血症(FH)におけるLDLレセプタ-(LDLーR)遺伝子異常 ヘテロFH患者210家系を検討し、4種の新しいLDLーR遺伝子変異を発見した。(1)FHーTonamiー1:このLDLーR遺伝子異常は第15エクソンと隣接のイントロンを含む約6kbの部分欠損である。LDLーR蛋白の発現は、正常細胞では120KDの前駆体が160KDの成熟体となるのに対し、FHーTonamiー1では正常より小さい約100KDの前駆体が多量に合成されるが、成熟体へ移行することなく、速やかに細胞内で分解される。(2)FHーTonamiー2:第2,3エクソンを含む約10kbの欠損によりガンド結合領域が部分欠損した異常LDLーRである。この異常LDLーRの活性は正常の約40%あるので、ホモFHーTonamiー2の4例でも比較的軽症であり、64,53,51,35才と生存中である。(3)FHーKanazawa,FHーOkayama:新しいLDLーR変異と判明した。 2) アポ蛋白Bー100遺伝子異常 アポ蛋白Bー100遺伝子のエクソン26の1塩基変異により第3500番のアミノ酸がArgからGlnへ変化し、LDLーRと結合しなくなる変異を本邦で初めて1家系2例で確認した。 3) CETP遺伝子異常 ホモ接合体性家族性高HDL血症はCETPの欠損による疾患であることを発見し、本症のCETP遺伝子異常はエクソン14とイントロン14の接合部のG→A点変異であることを明らかにした。本邦において、CETP欠損症ホモ型10例、ヘテロ型20例を見出だした。CETP欠損は高HDL血症と同時に低LDL血症をもらたすことが判明した。
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