研究課題/領域番号 |
63480189
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松尾 清一 名古屋大学, 医学部, 助手 (70190410)
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研究分担者 |
吉田 太 愛知学院大学, 歯学部, 講師
渡辺 有三 名古屋大学, 医学部, 助手 (90135369)
深津 敦司 名古屋大学, 医学部, 医員
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キーワード | 糸球体腎炎 / 免疫複合体 / レクチン / 内皮細胞 / 上皮下沈着物 / 基底膜 |
研究概要 |
Gal NAcを認識するHPAレクチンを腎灌流によりラット腎糸球体に結合させておき、これに抗HPA抗体を作用させることにより糸球体局所(内皮細胞表面)で炎症が惹起される実験的糸球体腎炎のモデルを作成した。このモデルにおける免疫複合物(免疫沈着物)の生成機序及び沈着部位の検討を主として免疫病理学的手法により検討したところ次の二点が明らかにされた。1.抗体投与後短時間(5分以内)のうちに内皮細胞表面に顆粒状の免疫複合物の形成がみられる。2.この免疫複合物は灌流腎の血流を再開させて経時的に観察すると内皮細胞表面→内皮下→下皮下へと移動し最終的にヒト膜性腎症類似の病変を形成する。一方、Glu NAcを認識するLCHレクチンを用いて同様の実験を行うと免疫複合物は内皮下に多くみられる。但しLCHの場合も初期の病変は〓〓〓と類似し内皮細胞表面に免疫複合物で形成される。このように同じ外来性抗原でも用いるレクチンの種類により最終的な沈着部位が異なる点は興味ある知見であり、今後この差異の生ずる要因の検討(等零点、基底膜成分との結合性等)を試る予定である。実に培養糸球体細胞を用いたin vitroでのレクチンー抗レクチン系の動態に関する実験では顆粒状の免疫複合物の形成には細胞骨格を介した局在の変化(patching)が関与することが示唆された。また糸球体細胞膜抽出物からHPA結合性糖蛋白質を精製する実験を行ったところ、分子量約14〜15万の糖蛋白が部分精製でき家兎に免疫してポリクローナル抗体を得た。これらを用いて物理化学的・免疫組織化学的検討を行い以下の基礎データを得た。1.家兎抗体は糸球体細胞膜成分とはニューラミニダーゼ処理時に反応する。2.家兎の抗体は腎では糸球体とのみ反応して、これまで報告のある類似の蛋白(ポドカリキシン)とは明らかに局在が異なる。今後モノクローナル抗体を作成し、実に詳細に検討する必要がある。
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