研究課題/領域番号 |
63480192
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
下山 政憲 広島大学, 医学部, 講師 (60136067)
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研究分担者 |
三好 理絵 広島大学, 医学部, 助手 (80209965)
郡山 達男 広島大学, 医学部附属病院, 助手 (80195693)
鬼頭 昭三 広島大学, 医学部, 教授 (00010140)
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キーワード | in vivo dialysis / 線条体 / 大脳皮質 / アセチルコリン / ドパミン / コリン作働薬 / 加齢 / nerve growth factor |
研究概要 |
平成元年度は、脳内での、in vivoにおける、アセチルコリン(ACh)の放出動態の機序と、これに及ぼす各種薬物の影響について検討した。さらに、昭和63年度に引き続いて、神経ペプチドの、脳内ACh及びドパミン(DA)の放出に及ぼす影響についても検討した。そして、以下のような結果をえた。1.線条体および大脳皮質からのAChの放出は、depolarizing stimuliにより、著明に増加することが、high K^+あるいはveratridineを用いた実験から確認された。また、これらの物質で誘発されたAChの放出増加は、tetrodotoxinで抑制された。2.ムスカリニックコリナ-ジック(mACh)アゴニストであるoxotremorine,carbacholを腹腔内投与すると、線条体からのAChの放出は抑制された。一方、アンタゴニストのatropineを投与するとAChの放出は促進した。3.側脳室内にnerve growth factor(NGF)を投与した後、3週経過したラットと、対照として生理食塩水を投与したラットとの間で、線条体からのAChの放出量に有意の差はなかった。4.生後1ケ月目のラットの線条体におけるAChの基礎放出量は0.51±0.05(n=10)、1年目のラットのそれは0.49±0.08p mol/min(n=3)であり、加齢ラットの放出量が若干減少している傾向があったが、両者の間に有意の差はなかった。6.線条体からのAChの放出に対し、chole-cystokininは促進的に作用したが、neurotensinは影響を及ぼさなかった。7.neurotensinは線条体からのDAの放出を促進した。以上の結果をまとめると、線条体あるいは大脳皮質からのAChの放出はaction potential依存性であることが明らかとなった。また、mAChアゴニスト及びアンタゴニストの投与でAChの放出動態がそれぞれ変化した所から、mACh receptorを介してAChの放出が調整されている事が判明した。さらに、各種神経ペプチドによる放出の調整も受けていることが示唆された。尚、脳内AChの動態とNGFあるいは加齢との相関は、本研究では確認されなかった。
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