研究概要 |
ニュ-モシスチス・カリニ(以下、カリニと略す)膜蛋白質の中から、主要成分である分子量11万5千の物質(GP115と略す)をワクチン化の標的に定めて研究を続けてきた。今年度はこの物質の蛋白質部分をコ-ドしている遺伝子のクロ-ニングに重点をおいて研究を進めた。すでに、標的物質のアミノ酸構造の解析により、TFITKTVの配列があることを明らかにしている。この知見に基づき、20個の塩基からなるプロ-ブを試作した。初めは塩基の組み合わせが複数個考えられる部位にはイノシンを組み入れたプロ-ブを用いたが、このプロ-ブを使用してクロ-ニングできた遺伝子には非特異反応が多く起こり、実用性に乏しいことがわかった。そこで今年度は、イノシンを組み込ませず、すべてを包含できるような組み合わせのプロ-ブを作成して実験を行った。カリニDNAのサザンブロットを用いて試作したオリゴプロ-ブを順次検定して、当りの塩基配列を含むプロ-ブを選ぶことができた。このプロ-ブを用いて、すでに作成してあったcDNAライブラリ-(λgt11に組み換えたもの)のクロ-ニングを開始した。約200万個のプラ-クを調べたが、残念ながら特に強く反応するクロ-ンを得るまでには至らなかった。そこで一旦、cDNAライブラリ-よりクロ-ニングする作業を中止して、先にサザンブロットで反応がみられた部位の遺伝子を切り出し、pUCベクタ-に組み換え、いわゆるサブクロ-ニングを行った。数10個のコロニ-を集めてドットハイブリを行い、約3,000個コロニ-を調べた中から、強く反応するロットが数個得られた。これをさらに絞って、単コロニ-にまで分離することができた。今後は、これらの候補の中から最も可能性の高いものを選んで、できるだけ早くシ-クエンスを行い、標的とする遺伝子を決定したいと考えている。
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