研究課題/領域番号 |
63480214
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 福島県立医科大学 (1989) 東北大学 (1988) |
研究代表者 |
山本 悌司 福島県立医科大学, 教授 (10106487)
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研究分担者 |
塚本 哲朗 福島県立医科大学, 講師
今野 秀彦 東北大学, 医学部, 助教授
岩崎 裕三 東北大学, 医学部, 教授
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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キーワード | 軸索流 / 運動ニュ-ロン / 運動ニュ-ロン疾患 / ラミニン / 細胞外マトリクス |
研究概要 |
運動ニュ-ロンは筋に分布する終末に神経伝達物質を輸送し、逆に逆行性軸索流によって種々の物質を運動ニュ-ロンに輸送していることが明かとなっている。特に神経筋接合部は細胞外マトリクスである基低膜いう構成されるが、その基本蛋白であり、著明な神経栄養作用を有するラミニンが中枢神経細胞に限局して存在することが明らかとなった。これは免疫ブロット法で検討するとラットでは約19万Daの蛋白であり、約百万Daの基底膜ラミニンよりかなり小さい。ラミニンBサブユニットに近い分子量であり、この部位にはいくつかの生物学的活性を有するドメインが知られている。運動ニュ-ロンのラミニン様活性は、電顕ではライソゾ-ムに局在した。それ故、運動ニュ-ロンのラミニン様蛋白は逆行性軸索流で末梢から運搬され、ライソゾ-ムに集積、処理されると考えられた。一方、運動ニュ-ロン疾患の原因としてこのような神経栄養因子が何らかの理由でニュ-ロンに運搬され難くなり、その結果、末梢からの情報の途続により、萎縮、変性に陥いる可能性を探るため、ヒト脳、脊髄で、ヒト胎盤いう抽出したラミニンによる抗体を作製し、免疫組織化学と免疫プロット法で検討した。その結果、ヒト脳にも約19万Daのラミニン様蛋白の存在が確認された。これは海馬、大脳皮質はもとより、脳幹、脊髄のニュ-ロンにかなり広範に見出された。しかし、脊髄運動ニュ-ロンではラットと異なり、顆粒状の反応産物は明かではなく、僅かにび慢性反応が認められた。いずれの種でも、運動ニュ-ロンは逆行性軸索流を介して、神経栄養因子を神経筋接合部から積極的に輸送していると推定される。運動ニュ-ロン疾患の治療へのアプロ-チはこの逆行性軸索流に乗せて、運動ニュ-ロンに必要とする物質を高濃度で脊髄前角細胞に送り込む方法が有用であろうと結論した。
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