I、目的 本研究はHAMの発症機序をHTLVーI感染関連の免疫異常により解明することを目的とする。本年度は(1)リンパ球サブセットをより詳細なCD分析を行う。(2)spontaneous PBL proliferationの抑制因子を検討する。(3)HTLVーI感染に対する細胞性免疫監視機構を検索する。 II、研究実績 (1)リンパ球サブセット:各種のNK細胞マ-カ-を調べたが、その多くのサブセットがHAMでは低下を示した。特にADCC活性やLAKに関系のあるCD16^+ CD3^+細胞の低下が著明であった。 (2)spontaneous PBL proliferation(SPP)の抑制因子:SPPの抑制因子を患者血清、HTLVーI抗体、ヒトリンパ球に対するモノクロナ-ル抗体(mAb)及びサイクロスポリンなどで検索した。患者血清やHTLVーI抗体では有意に抑制しなかったが、1Lー2RmAbとサイクロスポリンが著明な抑制効果を示した。 (3)HTLVーI感染細胞とそれに対する免疫監視機構:HAM患者末梢流血中にはHTLVーI感染細胞がcarrierに比べて有意に増加していた。その感染細胞に対する細胞性免疫監視機構ではMTー2細胞に対するCTL活性は亢進しているものの、NK活性やADCC活性はHAMでは有意に低下していた。 III、まとめ HAMではHTLVーI感染に関連してT細胞が活性化されSPP亢進をきたすがその反応はILー2とILー2Rを介するものと考えられた。また、HTLVーI感染細胞に対するCTL活性は亢進していたがNKやADCC活性は低下していた。
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