細径の血管内視鏡と誘導カテーテルとを用い、麻酔イヌ及び閉塞性末梢動脈硬化症、虚血性心疾患患者について下記の成績を得た。 A.麻酔イヌを用いた検討: a)4.6F先端バルーン付カテーテルを用いた冠動脈内視鏡法の検討: 4.6Fバルーン付カテーテルを開発し、経皮的に冠動脈内に挿入し、それを介し、3.3Fの血管内視鏡を挿入し、冠動脈内腔を観察したが、バルーンにより血流が遮断され、生食注入により、同軸性を守りつつ明瞭に観察しうることが判明した。 b)心内腔の内視鏡法の検討: 9Fバルーン付カテーテルを開発し、経皮的に右心又は左心に挿入、ついで3.3又は4.6F血管内視鏡を挿入、バルーンを膨張せしめ内壁におしあて、生食を注入することにより、心内壁が自由に観察しうることが判明した。 B.臨床的検討 a)閉塞性末梢動脈硬化症についての腸骨動脈大腿動脈内腔の観察: 8例の症例についてSeldinger法により大腿動脈を介し順行性ないしは逆行性にバルーン付カテーテルと血管内視鏡とを挿入し、生食を注入しつつ閉塞部や狭窄部の病変が明瞭に観察し得た。また小数例でバルーンによる形成術に伴う〓腫の変化も観察しえた。 b)虚血性心疾患における冠動脈内腔の観察: 15例についてSeldinger法により4.6Fバルーン付カテーテルを冠動脈内に挿入し、生食注入下で、狭窄病変を観察しえた。 C.1989年度の予定 臨床的に左右心内腔・弁の観察が血管内視鏡で可能であるか否かを検討する。
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