昨年度、血管内視鏡によるイヌでの冠事縮の観察および虚血性心疾患患者での冠動脈内腔の観察を行い、また、PTCAに伴う変化や開大状況の把握に本法が有効であることを確認したが本年度は血管内視鏡により、心臓の内腔が観察しうるか否かをイヌおよび臨床例で検討した。 1.イヌにおける心内腔の観察 麻酔イヌを用い、経皮的に誘導カテ-テルを介し右心左心に血管内視鏡を挿入し、生食注入により血液排除を行いつつ心内膜面を観察した。この方法により、左心室・右心室・右心房の内面の色調や動きを観察することが出来た。 2.特発生拡張型心筋症12例・急性心筋炎4例について、右大腿動脈よりバル-ン付誘導カテ-テルを挿入、バル-ンを左心室内膜面におしあて血管内視鏡により観察。この方法により、拡張型心筋症では内膜面は一枚の変化を呈するわけではなく、黄色、黄白色、淡褐色、褐色などさまざまであることが判明した。また、急性心筋炎では、赤色ないしは赤褐色を呈することが判明し、拡張型心筋症と鑑別が可能であることが示咳された。 3.血管内視鏡下レ-ザ心臓手術に関する検床を麻酔イヌで行った。すなわち、右心室ないしは左心室に新に考察した内視鏡付レ-ザ-プロ-ベを挿入し、心筋・伝導路の焼灼をArgonレ-ザ-で行った。この方法により穿孔などの合併症を予防しつつ心筋の焼灼が可能であると判断された。
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