研究課題/領域番号 |
63480232
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
橋場 邦武 長崎大学, 医学部, 教授 (40039483)
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研究分担者 |
満岡 孝雄 長崎大学, 医学部, 助手 (50159167)
木谷 文博 長崎大学, 医学部附属病院, 講師 (20108301)
深谷 眞彦 長崎大学, 医学部, 講師 (70039551)
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キーワード | 発作性心房細動 / 臨床心臓電気生理 / 心房筋受攻性 / 心房期外刺激法 / 心房内電位波形異常 |
研究概要 |
発作性心房細動は、発作性上室性頻拍とともに頻度の高い上室性の発作性頻拍性不整脈である。しかし、後者については臨床心臓電気生理学的に詳細に解明されているが、発作性心房細動に関する知見には乏しい。そこで、発作性心房細動症例の心房筋の臨床心臓電気生理学的特性については検討し、以下のような知見を得た。 1)発作性心房細動(af)群31例、Rubenstein分類IおよびII群の洞不全症候群(SSS)21例、および対照(C)群43例を対象に、心房期外刺激法にて測定した心房筋受攻性の指標であるrepetitive atrial firing zone(RAFZ)、fragmented atrial activity zone(FAZ)、conduction delay zone(CDZ)を検討した。その結果、RAFZ、FAZ、CDZはaf群、sss群に拡大例が多くCDZ群と有意差があったので、af群、sss群の心房筋の電気的特徴と考えられた。また、これらの指標は心房細動予知の指標ともなりうると考えられる。 2)af群20例、C群20例を対象に、右房内3点(高位側壁、右心耳、低位側壁)の不応期と、洞調律時に12点で記録した右房電位波形を検討した。その結果、不応期の最大値はaf群では高位側壁あるいは右心耳であったがC群には一定の傾向はなく、また、af群ではC群よりも最大不応期が大で、不応期の心房内での不均一性もaf群で大であった。洞調律時右房電位の異常波形(幅100msec以上、棘波数8個以上)は、af群の80%、C群の27%に認めた。また、af群では高位の後壁、次いで側壁、中隔に異常電位波形を多く認めた。以上のように、af群の電気生理学的な心房筋異常が高位右房の異常を主とするものであることを示唆する知見を得た。 以上、心房期外刺激法による心房筋受攻性の指標であるRAFZ、FAZ、CDZおよび洞調律時の心房内電位波形の異常の検討から、発作性心房細動の心房筋の電気的特徴および異常の局在性に関する知見が得られた。
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